米国の液化天然ガス(LNG)輸出に関する最新の調査報告書が7日公表された。
米国が無制限のLNG輸出を認めた場合でも、国内経済に恩恵をもたらすと結論
づけている。
米NERAエコノミック・コンサルティングは、米エネルギー省の委託で
2012年後半に同様の報告書を作成したが、データが古いとの指摘を受けて
今回、最新データに基づく報告書を作成した。
最新の報告書は、LNG輸出は国内ガス価格の上昇につながるものの、米国の家計の
実質所得と国内総生産(GDP)を押し上げる見通しだとし、2012年版と同じ
結論に至った。
調査は、LNG輸出拡大による天然ガス業界の賃金上昇と投資リターンの増加に加え、
他のマクロ経済指標に着目。報告書は、輸出拡大がもたらす恩恵が米国内のエネルギー
価格上昇を相殺すると指摘した。
このところ米政府に対し、LNG輸出政策の見直しを求める声が強まっている。
一部の議員は、ウクライナ危機への対応として、米国が自由貿易協定(FTA)を
締結していない国に対するLNG輸出の審査手続きの迅速化や、審査中の案件の
一括承認を政府に求めている。
ただ、米化学大手ダウ・ケミカルを中心とする業界団体は、LNG輸出を拡大
し過ぎれば国内ガス価格の上昇を招き、燃料を多く消費する産業に打撃となる
可能性があるとの懸念を示していた。
今回の調査では、LNG輸出拡大が化学業界にもたらす影響についてより詳細な
分析を実施。報告書は「われわれの分析では、無制限に輸出された場合でも、
LNG輸出が米国における化学セクターあるいは製造業の復興を阻害するとの
懸念を裏付ける根拠はない」と指摘した。
また、NERAが想定したすべてのシナリオにおいて、2018─38年に
天然ガスを使用する化学会社は成長がやや鈍化するものの、約2%の成長率を
維持する見通しだとした。
今回の報告書は米シェニエール・エナジーが作成を委託したもので、同社は
2011年、オバマ政権下で初めてLNG輸出を認可されている。
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http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYEA2903Q20140310