マルハニチロHDの子会社「アクリフーズ」の群馬工場(大泉町)で製造された冷凍食品
から農薬が検出された問題で、「マラチオン」は基準値の260万倍に当たる2万6000
ppmだったことが7日、分かった。群馬県警は内部犯行も含めて工場従業員への聞き取り
や監視カメラの解析を進めているが、周辺からは“雪印の亡霊”という声が出ている。
■「雪印冷凍食品」から社名変更
アクリフーズと社名変更しているが、同社はもともと、雪印乳業グループの「雪印冷凍
食品」だ。
00年6月に雪印乳業の集団食中毒事件が起き、さらに02年1月に雪印食品の牛肉偽装
が発覚。親会社の雪印乳業は廃業・解散となったが、子会社として分社化していた同社は
02年10月に社名を変更して生き残った。「雪印の名は再建の足手まといになる」(当時
の社員)という理由だった。
しかし、看板を掛け替えても、中身は一緒だ。
「アクリは、03年にニチロ(現マルハニチロHD)に買収されましたが、雪印の企業
風土は消えていなかった。今回も被害を過少申告し、商品回収を何とか避けようとする
姿勢が垣間見えた。消費者第一と言いながら、実際は利益第一でした」(消費者問題研究所
の垣田達哉代表)
なにしろ、アクリ社は消費者からの苦情を把握してから商品回収の公表まで1カ月半も
要した。行政側も激怒し、森雅子消費者行政担当相は8日、同社の幹部を消費者庁に呼び
つけて改善を指示するほどだ。
そして最大の関心事は、誰が農薬を混入させたかだ。群馬県警によると、外部から混入
した可能性は低く、内部犯行説が高まっている。
ソース:日刊ゲンダイ
http://gendai.net/articles/view/newsx/147094 http://gendai.net/img/article/000/147/094/42347024f6feacf14bb3a9f099821ad5.JPG (つづく)
>>1のつづき
■ニチロへ身売り直前にリストラ
「アクリ社は、ニチロに買収される直前、神戸市の工場を閉鎖しました。約100人の
従業員には、群馬工場に移るか、転職するかの二者択一を迫り、ほとんどをリストラした。
恨んでいる元従業員も多いはず」(企業ジャーナリスト)
残った群馬工場も徹底したコスト削減で、操業開始から39年も経った老朽化設備を使用
。雪印時代はそれなりに社員にはやさしい会社だったが、現在の従業員280人の雇用形態
はほとんどがパートと嘱託(半年更新の期間工)に変わっている。その募集案内を見ると、
勤務は朝5時〜深夜23時の交代制で、月額基本給は約14万2000円である。過酷な
労働条件だ。
そんなリストラの結果なのか、アクリフーズの親会社のマルハニチロの冷凍食品部門は、
業界で市販用と業務用の両方で2年前にシェアのトップに急成長している。
「ある取引業者が話していたが、雪印の社員はスノーブランドにあぐらをかき、鼻持ち
ならない社員が多かった。そうなると、会社に恨みを持つ内部犯行の疑いが高まりますが、
アクリフーズの食品管理体制も問題です。大手の工場はすべて残留農薬などを自主検査する
仕組みがある。アクリがコスト削減などでそれをやっていなかったとしたら、さらに悪質
です」(食品問題に詳しいジャーナリストの吾妻博勝氏)
果たして恨みを抱く従業員の犯行なのか。アクリフーズはまだ何かを隠そうとしているのか。
群馬県警は工場を実況見分し、約300人の従業員から聴取するなど捜査を進めているが
、意外と早く犯人を絞り込めるかもしれない。
-以上-