<前略>
■掃除機やから揚げ機まで外国製に 量販店でも色濃い日の丸家電の劣勢
もう1つ、最近家電製品で気づくことは外国製品が多いことだ。かつて家電量販店に行くと、
わが国の有力家電メーカーの製品ばかりが並んでいたことを覚えている。ところが、最近では
外国製品が目白押しだ。
しかも、その多くが売れ筋のベストテンにランクされている。日本人は今から数年前まで
、そうした状況になるとは思いもしなかっただろう。
たとえば、掃除機ではダイソン製の掃除機がいくつも展示されている横に、アイロボット社の
ルンバがしっかり置かれている。担当の店員さんに聞いてみると、「最近、外国製の家電
製品がよく売れる」と嬉しそうに話してくれた。
あるいは、「油を使わずにから揚げができる」とのキャッチコピーで人気を博している
「ノンフライヤー」なる製品は、わが国メーカーではなくフィリップス社製だった。
昨年12月の「賞与が出たら買いたい商品」のアンケート調査では、女性部門の第二位に
家電製品がランクされていた。国内での家電製品に対する需要が盛り上がっているのだが、
多くの消費者の目が海外製品に向かっている。かつてわが国を代表する産業分野であった
家電メーカーの低迷は、こんなところからも明らかだ。
■わが国企業に求められる 非連続系イノベーションの重要性
一般的に、企業は新製品で成功を収めると、当該製品の改良を行うことで成功の持続を
願うことが多い。そうした状況が続くと、いずれ安価な人件費を享受できる新規参入者が
現れたり、新しい製品が開発されたりする。そうなると、一時成功を収めた企業の業績は
低迷して、新しい企業にとって代わられることになる。それが経済の新陳代謝だ。
そのため、企業が長期的な存続を目指すならば、常に新しいものにチャレンジするイノ
ベーションの姿勢が必要不可欠だ。そのイノベーションの方向性は、今あることの延長線
ではなく、むしろ今までとは違った非連続な動きになる必要があるだろう。著名経済学者で
あるシュンペーターは、そうしたイノベーションを“創造的破壊”と呼んだ。
シュンペーターが示したイノベーションのカテゴリーには、新たな製品の開発(プロダクト
・イノベーション)や、新しい生産材料や生産技術(プロセス・イノベーション)があるが
、基本的には需要者である消費者が欲しいと思い、しかも購買することが可能な製品群を
効率よくつくり、需要者に届けることが重要になる。
わが国企業は家電メーカーに限らず、すでにある製品に様々な機能を付加することで
価格を引き上げ、収益状況を維持しようとする姿勢が強いと言われてきた。それがすべて
悪いというわけではない。経営戦略として、高付加価値製品によって収益を上げるのは
相応の有効性はある。
しかし、常にそうした戦略が通用することは考えにくい。むしろ、ノンフライヤーや
ルンバのような非連続系の新製品を生み出す戦略が必要になるはずだ。企業が、常に新製品
を生み出す企業文化こそ、長期間生き残るための最も重要なイノベーションの要素と考える
。わが国家電メーカーは、そうした企業文化を忘れた時期があった。
<後略>
ソース:ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/46792 ※省略部分はソースを参照して下さい。