ソース(SankeiBiz 「ビジネスのつぼ」)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/131216/bsd1312160502006-n1.htm 写真=バイク保険営業の秘訣は「正規販売店のニーズを拾うこと」と話す伊藤忠商事物流・保険ビジネス部の河井一心課長補(右)
http://www.sankeibiz.jp/images/news/131216/bsd1312160502006-p1.jpg 二輪の新車販売台数が世界第4位のバイク大国、ベトナム。伊藤忠商事はホンダとともにバイク保険付き総合会員サービス「ホンダ
プラス」を同国で展開している。伊藤忠の保険ビジネスのノウハウと、現地での知名度が高いホンダの販売網というそれぞれの強みの
融合が成功した要因だ。
◆ホンダと二人三脚
巨大ショッピングモールが建ち並ぶ、ベトナム最大都市・ホーチミンの目抜き通り。赤や青のスタイリッシュなスクーターやバイクを
乗りこなす若者の姿が目立つ。ホンダは、同国で6割以上のシェアを握っており、ホーチミンでは「ホンダ」がバイクの一般名称になって
いるほどだ。
伊藤忠商事は昨年9月、ホンダと二人三脚で、同国にホンダプラスを導入した。同月に設立された保険代理店「コスモス・サービシズ・
ベトナム」の契約件数は、営業開始1年間で約5万件に達しており、3年後には6倍の30万件の目標を掲げる。
契約好調の理由の一つは、サービスの充実度だ。通常、バイク保険といえば、盗難や事故時の対人、対物の補償サービスだが、
ホンダプラスは保険はもちろん、イベント情報や安全運転講習、割引サービスなどが受けられる。
会員の勧誘は、ホンダの現地法人「ホンダベトナム」の正規販売店(約600店)を通じて実施される。年会費は約3000〜4000円
(約30〜約40ドル)前後で、日本の物価水準なら自動車保険の金額に近いというが、ホンダベトナムの強力な支援と使い勝手の良さ
もあり契約件数は増え続けている。
伊藤忠は、ホンダベトナムの持つ日本流のきめ細かいサービスに期待している。伊藤忠物流・保険ビジネス部の河井一心課長補は
「バイク市場は成熟に近づいており、今後はアフターサービスが鍵になる」と分析。ホンダベトナムは、修理やオイル交換などのアフター
サービスの強化に注力しており、伊藤忠の考えとマッチする。伊藤忠は、ホンダベトナムの販売店や顧客から意見を聴き、保険の販売
価格などに反映させている。
◆安心感、口コミで広がる
一方、伊藤忠に期待されているのは保険実務に関するノウハウだ。伊藤忠は、カード発行業務のほか、クレーム処理、盗難・事故に
ついてやりとりをするコールセンターの運営を代行する。
両社の強みが一緒になることで、ベトナムでのビジネス展開に大きなプラスとなった。今後は、ツーリング情報の提供や会員同士の
情報交換の場を提供するなど、日本モデルをアジアに根付かせたい考えだ。
ホンダプラスのビジネスモデルの源流はタイにある。河井さんは2004〜09年にタイの首都バンコクに駐在した際、同国でホンダ
プラスと同様の仕組みを構築していた。
河井さんは当時、3カ月に1度は約1カ月かけて地方販売店の声を吸い上げる草の根営業をしてきた。04年に8万件弱だった
保険契約数は、盗難や事故処理のきめ細かいサービス、安心感が口コミで広がったこともあり、現在では約3倍の25万件強に
成長した。
(
>>2以降に続く)
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>>1の続き)
河井さんはタイから帰国後、「タイのビジネスモデルを成長するアジアの他国に横展開し、消費者向け保険を伸ばしたい」と考え、
上司にかけあった。インドネシアやミャンマーも調査したが、国ごとに規制の異なる保険は参入障壁が高く、一筋縄ではいかない。
ベトナムも政府認可に時間がかかるのがネックで、保険ブローカーのライセンス取得には最短で2年かかる。「このスピードでは商機
を逃す」とあきらめかけたが、早期に立ち上げられる保険代理店設立に切り替え、ベトナム進出が実現した。
伊藤忠にとって、ベトナム市場での次の一手は、地場の金融機関のクレジットカードにバイク保険を組み込むことだ。目下、来年の
サービスに向け水面下の交渉を急いでいる。タイの隣国のカンボジアとラオスもホンダのバイク販売台数が増えつつあり、どうくさびを
打ち込めるかが次の狙いだ。
(終わり)