ソース(日経ビジネスオンライン 「記者の目」)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131213/257028/ 「バイトテロ」で企業が倒産に追い込まれる事態がついに発生してしまった。
東京都多摩市。東京都下の丘陵地帯に造成された多摩ニュータウンにあるそば屋の「泰尚(たいしょう)」。幹線道路沿いの好立地で
営業していたにも関わらず今年8月に閉店。東京地裁に破産を申請して、10月9日に破産手続き決定を受けた。
同社は前社長が亡くなった昨年9月にそれまで3カ所あった店舗を1店に縮小しての再建中だった。その最中、思いもかけない事件が
起きた。
アルバイト店員の男子大学生が店内での悪ふざけ画像をインターネット上に公開したのだ。「洗浄機で洗われてきれいになっちゃった」
というコメント付きで洗浄機に横たわったり、顔を突っ込んだりした画像をツイッターで投稿。さらには流し台に足をかけたり、胸をはだけ、
店の茶碗をブラジャーのように胸に当てたりした画像など、目覆わんばかりの画像も投稿していた。
問題行為が発覚して、ネットが「炎上」する騒ぎになったのは8月9日。「不衛生だ」などとクレームの電話が相次ぎ、店は閉店に
追い込まれた。そして、その後、営業を再開することなく、破産に至ってしまった。
いわゆる「バイトテロ」によって倒産にまで発展するケースは稀だ。日経ビジネスでは破産直後から同社の小川純子社長にインタビュー
を申し込んでいたが、なかなか連絡を頂けなかった。一通のファクスが編集部に届いたのは12月1日。それは小川社長直筆の「慟哭の
手紙」だった。
写真=12月1日、小川純子社長から編集部に届いた直筆のファクス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131213/257028/ph01.jpg 「私の思いをすべて書きました。日経ビジネスだけにこれを送ります。ぜひ、そのまま掲載してください」。そんな本人の希望通り、
全文を原文のまま以下に掲載する。
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突然の出だしで失礼いたします。
私と主人は共に東京に生まれ、主人の父はサラリ-マン、私の父は公務員、双方共に片親に早く死なれ、決して幸福とは言えない
環境だったと思います。そして主人は専門学校卒とは言え暴走族のリーダー、私は一流企業に就職しましたが高卒です。
主人が30才の時に独立、(有)泰尚を始めました。細かい数字は割愛させて頂きますが、大繁盛いたしました。飲食の基本は早い、
安い、そして美味しい、とにかくお客様に喜んで頂く事、そしてまた来店して頂き常に笑顔を絶やさず、本当によく働いたと思います。
ところが時流の波には逆らえず、経営は厳しくなってまいりました。
とうとう昨年の9月13日(奇しくも義父と同じ命日)に主人は負債を背負いきれず自ら命を絶ちました。葬儀には1000人近い方がみえて
下さいました。
私と娘も覚悟しておりましたので、主人は私達のために犠牲になってくれたと思っております。
そしてあの事件から早4カ月近く経った今、彼らのやった事は一生許す事はできないし、その子(今ではもう立派な大人です)も憎い
ですしその親達にさえあきれるばかりです。
決して世の中の役に立つ人間になれなどとは申しません。でも少なくとも、人には迷惑をかけるな、ありがとうとご免なさいをなぜ
言えないのかと。
(
>>2以降に続く)