長サイクルの事業強み フィノウェイブインベストメンツ社長 若林秀樹氏
http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD030E8_T00C12A7TY6000/ ――あれほど強かった日本のテレビがなぜ競争力を失ったのでしょう。
「『円高が悪い』という議論が盛んだが、円高以前から弱体化が進み、円高はとどめを刺したにすぎない」
「テレビに限らず、各種の家電やIT(情報技術)端末市場を観察していると、世界市場が数千万台規模の間は
日本勢が健闘するが、一億台を突破(ほぼ同時に価格が500jを切る)すると、とたんに競争力が低下する
法則のようなものがある」
「携帯電話やパソコンでも市場規模が小さかった1980年代、90年代は・・・」
――理由は何でしょう。
「市場が拡大すると、自社生産だけでは間に合わない。外部の生産受託会社をうまく使って成長したのが、
かつての米デルであり、今の米アップルだ。・・・」
「もう一つ、テレビ市場での最大の強敵である韓国サムスン電子との大きな違いはスピード感だ。・・・あるいは
開発面でも効率化を進め、工場の交代勤務のように、開発陣も交代制で24時間体制で新製品を開発しているという。
パソコンでもテレビでも機器の台数拡大は製品サイクルの短期化と連動して起きる。組織にスピード感がないと・・・」
――再生への道筋は厳しい、と。
「企業にはそれぞれ固有の時間軸や規模感があり、それから大きく外れた事業に手を出しても無残に
失敗するだけだ。その意味でソニーなどがスマホに力を入れるというが、私にとっては耳を疑う方針だ。・・・」
「一方で日本企業の体質にピタリと合致する分野もある。例えばエアコンなどの白物家電はそれほど市場規模が
大きくなく、製品サイクルも長い。日立製作所や三菱電機が復活したのも、鉄道や重電、産業機械といったゆったりした
リズムの事業に回帰したからだ。面白いことに、テレビなどではあれほど強いサムスンも、複写機や携帯電話の
基地局といった台数規模がそれほど大きくなく、5年以上のサイクルの業務用機器の市場ではパッとしない。
彼等が苦手な分野に日本企業の活路がある」
・・・
2013年07月17日
米IBM、3Dプリンターで革新−コンサル参入
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0220130717aaai.html 米IBMは3Dプリンターを使ったモノづくり革新を支援するコンサルティング事業に乗り出す。
日本を含む世界規模で事業を展開する。3Dプリンターの活用に加え、設計データの共有化や
ロボットによる自動制御・組み立ての3点からサプライチェーン変革を支援していく。
補聴器や洗濯機などの製造を対象として3Dプリンターの可能性を検証。サプライチェーンをモデル化し、
3Dプリンターなどが与える既存産業への影響を予測した。
検証によると、3Dプリンターによるモノづくり革命の効果は「通常の商品と比べ、今後10年間で平均23%
のコスト削減が見込める」(ポール・ブローディ米IBM電機・電子業界担当統括者)という。
また、検証した製品について生産数量の10%で現行と同等の量産効果が得られることも確認。
「今後5―10年で工場の規模や人数で差別化する規模の経済は終えんし、多品種少量生産の時代が来る」
(ブローディ氏)と予測した。