ヤフーや楽天などが運営するインターネット上の競りの場、「ネットオークション」で、
チケットに法外な高値がつくコンサートが相次いでいる。「本当のファンの手に渡らない」
と規制を求める声もある。
11月に11年ぶりの来日公演をするポール・マッカートニー。9月、一般発売開始と
ほぼ同時にチケットは完売。直後から、ネットオークションにポールのチケットが出回り
始めた。
ネットオークションでは、個人や企業の売り手はさまざまな商品を出品、買い手は競りの
締め切りまで値をつり上げて落札しようとする。出品者が競りなしの「即決価格」を示す
こともできる。
ネット社会に詳しいジャーナリスト神田敏晶さんはポールの先行チケットに申し込んで、
抽選で外れ。ヤフーオークションをチェックして愕然(がくぜん)とした。「定価1万
6500円のチケットに、平気で即決価格40万円などと値付けしている。これでは
カネ持ちだけで、本当に見に行きたいファンにチケットが回らない」
純粋な余り券や買い間違いによる出品も多い。神田さんが問題にするのは「ネットダフ屋」
などと呼ばれる“プロ”の出品者。「コンサート会場でのダフ屋行為は、各都道府県の迷惑
条例で規制されている。ネットダフ屋は放置していいのか? 東京五輪をこんな状態で
迎えるんですか? ヤフーなど大手サイトは、転売価格の上限を例えば2倍までなどとして、
ネットダフ屋のモチベーションを下げるべきだ」
売り切れが予想される人気イベントが、数倍以上に値付けされるのは珍しくない。ロッキング
・オン社など主催の夏フェス「ロック・イン・ジャパン」は、毎年チケット売り切れ必至。
来場者は、夏フェスの中でも比較的年齢層の低いJロックのファンが多いだけに、影響は甚大だ。
同社は「本来なら行きたい人に回るべきチケットが、一種のネットダフ屋とも言える人たちに
押さえられている」「(ヤフー側は)その状況に結果として加担しているにもかかわらず、
放置している」などとした質問状を、最大手のヤフーに複数回送った。ロッキング・オン社の
渋谷陽一社長は「何の回答も得られなかった。とても残念」と話す。
ヤフー広報室は「オークションは自由に売買できる市場であり、需要と供給関係で成り立つ。
人気高のモノに高値がつくのはチケットに限らないし、そもそも市場とはそういうもの」と
取材に答えた。
ヤフーの言い分にかちんと来るロックファンは多いかもしれないが、反論するのは、実は至難だ。
●ポール・マッカートニーの東京公演は、制作席を開放した異例の追加チケット発売もあった
http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20131023001711_comm.jpg ◎
http://www.asahi.com/articles/TKY201310220285.html?ref=com_top6_1st