先月の台風18号による河川増水のため、琵琶湖流域で産卵期を迎えているアユの卵が
大量に流されたか泥に埋まった可能性が高いことが3日、滋賀県水産試験場(同県
彦根市)の調査で分かった。台風から1週間後の産卵数は同時期の平年値と比べ
約5.5%にとどまっていた。
琵琶湖名物で知られるアユだが、今年はもともと個体数が激減。漁業者は8年ぶりに
漁を自粛して資源回復を期待していただけに、肩を落としている。
アユは琵琶湖漁業の中で漁獲高、出荷額ともに最大で、つくだ煮などの加工品も
名物として知られる。稚魚は全国の河川の放流用にも重宝されている。
調査は主要産卵場の姉川など11河川で先月24〜26日に実施した。
確認できた産卵数は約2.5億粒で、過去10年間の同時期の平年値約44.7億粒を
大幅に下回った。増水のため2河川は調査不能だったが、多くの川で親魚も減っていた。
産卵数調査は毎年8月下旬から原則5回実施している。
今年は2回目(9月11〜13日)までの調査で42.5億粒と順調な出足だったが、
今回の3回目で激減し、平年の半分以下にとどまる見通しだ。2回目調査の直後、
15日から16日にかけて、台風18号が来たため、確認された卵もふ化する前に
流された可能性がある。台風18号を巡っては、気象庁が滋賀、京都、福井の3府県に、
初めて「大雨特別警報」を出していた。
産卵数は昨秋が約7億粒と史上最低水準で、今年は8月現在、成長した親魚が例年の
約3割にまで減少していた。そのため、県が例年の倍近い約77万匹の親魚の放流を
決めるなど、特別な対策を実施している途中だった。
それだけに県漁業協同組合連合会(大津市)の窪田雄二専務理事(61)は
「資源回復を待望していただけに、台風の影響はショックだ」とため息をつく。
同試験場の桑村邦彦参事は「今年は河川の水量が安定し、産卵の出足も良かったので
残念だ。台風でどれだけ流されたかは不明で、冬場に氷魚(ひうお、稚魚)の生息数を
調べて影響を確かめたい」と話している。
ソースは
http://mainichi.jp/feature/news/20131004k0000e040155000c.html