国内生命保険市場の縮小が続く中、大手生命保険各社が、東南アジアへの進出を加速している。
東南アジアは親日的で、保険を好む傾向にある。貯蓄好きな面もあり、「満期になると
お金が返ってくる貯蓄性保険の人気が高い」(ニッセイ基礎研究所の平賀富一上席研究員)
ことも好材料だ。
住友生命は3月、ベトナムの金融最大手のバオベト・ホールディングス株18%を約320億円で
取得した。ベトナム政府に続く出資比率で、民間では最大の株主だ。
グループで4万7000人の職員と150支店の拠点網を生かし、積極的に経営に参画する構えだ。
明治安田生命は7月、タイで70年の歴史を持つ保険大手タイライフの株式15%を
約700億円で取得すると発表。保険商品開発や販売のノウハウを提供し、事業を拡大させる
考えだ。根岸秋男社長は「多様な国で挑戦して、10年後ぐらいに(縮小傾向の)国内事業を
補完できれば」と語る。第一生命は6月、インドネシアの中堅生保パニンライフ株40%を約
340億円で取得することを決定。「個人の代理店に加え、グループ銀行でも強い販売力を持つ」
(第一生命)と期待する。
各社が東南アジアに注力するのは、人口が増える中で所得水準が向上しているためだ。
1人当たり国内総生産(GDP)が1000〜1万5000ドルの範囲に入ると、保険加入率が
上昇する傾向が強いといい、ベトナム(昨年は1500ドル)、インドネシア(同3500ドル)、
タイ(同5600ドル)はともに保険市場の成長圏にある。保険好きな傾向も強い。
タイのGDPに占める生保保険料の割合は約3%で、日本の9%台ほどではないが、
2%弱の中国などを上回っている。
一方、人口13億人を超える巨大市場、中国本土には2003年の日本生命保険を皮切りに
大手3社が進出しているが、「規制や競争が厳しく、苦戦している」(エコノミスト)のが現状。
第一生命はいったん結んだ国営電力会社との合弁契約を解消するなど、参入に至らなかった。
各社は今後、さらに海外での収益を伸ばす予定で、第一生命は昨年度、約90億円だった
海外事業の最終(当期)利益を15年度に約300億円に拡大する目標を掲げる。
日本生命は、11年にインドの有力財閥傘下の生保、リライアンス・ライフに出資、東南アジアでも
新たな進出機会をうかがう。
もっとも、欧米勢や地場生保との競争が厳しいのは中国も東南アジアも同じ。
SMBC日興証券の丹羽孝一シニアアナリストは「東南アジアは親日国が多いため日本企業の
参入は受け入れられやすいが、まとまった利益が出るには時間がかかる」と指摘している。
ソースは
http://mainichi.jp/select/news/20130814k0000m020055000c.html http://mainichi.jp/select/news/20130814k0000m020055000c2.html “大手生保の海外進出状況”という表は
http://mainichi.jp/graph/2013/08/14/20130814k0000m020055000c/image/001.jpg