7月30日(ブルームバーグ):世界最大の炭酸カリウムメーカー、ロシアのウラルカリー は
ベラルーシとの合弁事業を解消すると発表した。旧ソ連からの供給を抑制していた協力関係が
打ち切られ、価格を下支えしてきた生産制限がなくなることにより、
200億ドル(約1兆9600億円)規模の炭酸カリウム市場を一変させる可能性がある。
供給急増により炭酸カリウム価格が下落するとの観測が投資家の間に広がり、イスラエルや
ドイツ、カナダ、米国などの株式市場で炭酸カリウムメーカーの株価が最大27%急落した。
炭酸カリウムは肥料として用いられる。
ウラルカリーは、ベラルーシが販売協定を守らなかったことから、合弁事業を解消したと
説明した。
VTBキャピタルのアナリスト、エレーナ・サクノワ氏(モスクワ在勤)は電話取材で、
「ウラルカリーの発表は世界の肥料市場をひっくり返すものだ」とし、
「以前は世界の炭酸カリウムメーカーは寡占状態で、出荷量よりも高価格の恩恵のほうを
大きくするルールに従っていたが、これからは完全に競争市場になる」と指摘した。
これまではウラルカリーの合弁事業と、カナダのポタシュ、米モザイク、
カナダのアグリウムから成るグループが互いをけん制し合うことで、需要に応じて
生産と輸出を加減し、価格変動を回避していた。
31日のロシア株式市場で、ウラルカリーの株価終値は19%安の151.92ルーブルと、
2008年11月以来の大幅下落となった。
フランクフルト市場でドイツのK+S株は24%安と、過去14年で最大の下げとなった。
テルアビブ市場ではイスラエル・ケミカルズが18%下落。米株式市場でポタシュは一時
23%安となった。モザイクは25%、アグリウムは8.4%それぞれ下げた。
■価格は300ドル未満に下落も
ウラルカリーとベラルーシカリーの合弁会社ベラルーシ・ポタシュ・カンパニー(BPC)は
05年に設立された。ウラルカリーは今後、輸出をBPCから自社部門ウラルカリー・
トレーディングに移す計画。BPC広報のフィリップ・グリツコフ氏、ベラルーシ政府の
オルガ・ドルガヤ報道官はいずれもコメントを控えた。
ウラルカリーのウラディスラフ・バウムガートナー最高経営責任者(CEO)は30日、
記者団に対し、この事業方針変更により価格は1トン当たり300ドル未満に下がる可能性が
あると述べた。これは現在の中国向けの契約価格を少なくとも25%下回る水準で、
10年1月以来の低水準。ただ一部の大手メーカーの生産原価である同200ドルは引き続き
上回るだろうと同CEOは説明した。
ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MQR9X26K50ZF01.html