日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加し、今年5月
に始まった東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉で、ASEANが日本に対し、
10年以内に関税をなくす品目の割合を示す「貿易自由化率」を95%以上にするよう
求めていることが12日、交渉関係者らの話で分かった。日本は通商交渉でコメなど農産品
の一部を例外扱いしており、締結済みの経済連携協定(EPA)の自由化率は80%台に
とどまる。今月後半から交渉に参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と同様、
RCEPでも農業分野は大きな課題となりそうだ。
RCEP交渉をけん引するASEANがオーストラリア、ニュージーランドと締結した
自由貿易協定(AANZFTA)では、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール
の自由化率はいずれも100%。タイは99・0%、マレーシアは96・3%などと高い
自由化率を達成している。ASEANは2015年に加盟10カ国間の関税を完全撤廃する
方針も決定している。
一方、日本が2国間で締結したEPAの自由化率は、対シンガポールで84・4%、
対メキシコで86・0%などと9割に至っていない。
関税を課すために分類した日本の関税品目数は約9000に上るが、コメなどの農産品
(約840品目)を中心に鉱工業製品も含めて940品目の関税を維持しているためだ。
日本が自由化率95%を達成するには農産品の関税撤廃に踏み込まねばならず、「非常に
厳しい要求」(政府関係者)といえる。
政府関係者の間では「ASEANは基本的に日本重視。最終的に日本に無理難題をしかけて
くることはない」と冷静な見方が強い。ただ日本は、中国も加わるRCEP交渉を主導したい
という意向が強く、「RCEPの枠組みから相手にされなくなる事態は避けたい」と慎重に
対応する方針だ。【大久保陽一】
ソース:毎日jp
http://mainichi.jp/select/news/20130712k0000e030213000c.html