【エネルギー】「太陽光」偏重、維持に限界 負担増の問題点も鮮明に 買い取り制度発足1年[13/07/02]

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55名刺は切らしておりまして
■安倍首相は原発セールスマン、原発を売り歩く
 安倍首相が4月28日から5月4日にかけてロシア、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、トルコを歴訪。
 この道中、安倍首相は「トップセールス」に勤(いそ)しんだ。目立つのが原発だ。
▼トルコでは原発4基の建設について、三菱重工を中心とする企業連合が受注することが確実になった。
 世界有数の規模の大きさで、事業費は2兆円を超える見通し。
 原発輸出は三菱重工にとって初めてなら、日本にとっても2011年3月の東日本大震災後初めてだ。
▼UAEでは《原子力協定》に署名し、『サウジ、そして帰国後にインドと、原子力協定の協議を始める』。
 この協定は、原子力関連部品を輸出するのに必要となる。原発輸出に向けた第一歩だ。
 これらの国々は、イスラエル、イランといったライバル国に対応するため核武装に繋がる原発を欲しがっている。
▼『さらに6月7日には来日したフランスのオランド大統領との間で「原子力発電が重要」として、《日本での核燃料サイクル》や、原発の共同開発・輸出《の推進》で協力すると確認』。
 日本原燃の社長と仏原子力大手アレバ社の最高経営責任者が協力強化の覚書に署名した。
 トルコでは、アレバ社と三菱重工の合弁会社が開発した原発が建てられる見通しだ。
 ここで「核燃料サイクルの推進」という言葉を記憶にとどめていただきたい。
 「原子力分野での協力強化」を謳った共同声明には、「核燃料サイクルのパートナーシップ深化」と称する青森県六ヶ所村の再処理施設の創業開始、及び「使用済み燃料の再利用」を盛り込んだ。
 2011年度に3000億円の損失を出して以降、収益悪化が止まらないアレバ社の貴重な収入源となっている、「MOX燃料(プルトニウムとウランを混ぜたもの)」の販売を継続したい、仏側の希望を反映した形。
56名刺は切らしておりまして:2013/07/02(火) 11:22:12.63 ID:Iq825k1b
■地震国トルコへの原発輸出の問題…事故の責任を負わされる危険。最終処分場問題にはあえて触れないと、事前に申し合わせ
 『トルコでの原発建設には懸念がある』。
 トルコは、マグニチュード7級の大地震にたびたび襲われてきた。1999年8月の地震では、死者が1万人を超えた。
 その状況下で、日本側が、設備の維持管理をはじめ原発運転のノウハウを初歩からトルコ側に教え込まなければならない。
『「事故が起きたときの責任を負わされる可能性があるのははっきりしています」(環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長)』
 実際に2013年6月7日、蒸気発生器の配管が破損して昨年から止まっていた米カリフォルニア州の原発を廃炉にすると発表された件では、運営側は製造した三菱重工に損害賠償を請求する。
 『さらに、トルコとの交渉について経産省関係者は、「最終処分場問題についてはあえて触れないと、事前に申し合わせていました」と、「核のごみ」問題を曖昧にしたことを明かす』。

■原発輸出の裏に隠された思惑
 こんな「危険」なセールスを進める安倍政権には、成長戦略の実績づくりとは別の狙いがあると言うのは、元経産官僚の古賀茂明氏だ。
『「原発輸出の裏にはもんじゅを含む核燃料サイクルの推進、そして日本の原発再稼働の切り札にしたいという思惑が隠されています」』。
 ここでクローズアップされるのが、安倍首相とオランド仏大統領が協力を確認した「核燃料サイクルだ」。
 核燃料サイクルとは、原発で発電後に残る使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び燃料にすること。
 日本でその中核となるのが、「高速増殖炉もんじゅ」と、日本原燃が青森県六ヶ所村に建設する「再処理工場」だ。どちらも実用化にはほど遠い。
 「高速増殖炉」は、プルトニウムを燃やして発電しつつ、新たにプルトニウムを生み出す。だが、1兆円をつぎ込んでも試験段階のまま。運転再開の準備作業すら認められていない。
 「再処理工場」も建設が遅れに遅れ、19回も完工を延期、予定の2013年10月も危ぶまれている。
 どちらも、民主党政権が掲げた「脱原発」が進めば、無用の長物になるはずだった。
57名刺は切らしておりまして:2013/07/02(火) 11:24:39.03 ID:Iq825k1b
■《再処理の国際化》構想…日本を核のゴミの集積・再処理基地化
 ところが、民主党政権にかげりが見えていた2012年5月25日、細野豪志・原発担当相(当時)の私的諮問機関(遠藤哲也・元原子力委員会委員長代理ら「原子力ムラ」の重鎮らで構成)が、
中間報告「核燃料サイクルの検証と改革」をまとめていた。
 この内部文書は通称「細野ペーパー」と呼ばれ、驚くべき内容が記されていた。
〈六ヶ所再処理工場を利用した『他国の使用済燃料の処理・返還』の可能性を含め、『我が国核燃料サイクル全体の更なる「国際化」を進める』ことが視野に入ってくる〉
 つまり、『日本の核燃料サイクルを海外でも活用する』というのだ。
 『再処理の大前提は、原発が動いていること。核燃料サイクルが「売り」ということは、国内の原発再稼働ありきで話が進んでいる』。
 この諮問機関が安倍政権になった2013年2月に作成した最終報告も、表現はやわらいだが趣旨は同じだ。
 「日本が《(核不拡散への)世界貢献》を謳い文句に、新興国で出た核のゴミを一手に集めて再処理をして戻す。それを果たすのに、もんじゅの建設続行を含め、核燃料サイクルを大規模に展開しなければならない。
 こういう理屈を経産官僚と原子力ムラがひねり出した」(古賀茂明氏)
 原子力ムラの幹部が、「再処理の国際化」構想の展望についてこう語った。
「これから原発が再稼働しても、全基が稼働する見込みは低い。六ヶ所村の施設は800トンの再処理能力があるが、稼働は半分くらいになる恐れがある。
 対策として、途上国の使用済み核燃料を引き受けるという将来の《ビジネスモデル》は、もちろん準備している」

■本命はやっぱり、もんじゅ
 「細野ペーパー」をまとめた遠藤哲也・元原子力委員会委員長代理を直撃した。
「再処理の国際化は、中長期的に考えましょう、という話です。
 新興国から出てくる使用済み核燃料の再処理は核兵器に繋がるから、国際管理せざるを得ない、というのは概念、目標としてある。
 やっぱり、もんじゅは動かさないといけないね。本命はやっぱり高速増殖炉ですね。もんじゅは早く結果を出さないとね」
58名刺は切らしておりまして:2013/07/02(火) 11:27:11.29 ID:Iq825k1b
■再処理の権利を手放したくない
 日本の再処理は、日米の原子力協定で認められたもの。核保有国以外ではアジア唯一。
 この「再処理」が、原発セールスの「売り」となっているふしがある。
 トルコの原発受注では、ロシアが2010年に受注した際には、「ロシア原産の使用済み核燃料をロシアで再処理することは可能」とする協定を、ロシアとトルコの間で結んでいる。
 その延長線上で、日本の受注も「再処理」がポイントになった可能性がある。
 日米の原子力協定は2018年7月に切れる。
 『そのため「原子力ムラ」の有力者が自民党に対して、「協定が切れる前に再処理の権利を手放したら、二度と戻ってこなくなる」と、熱心にロビー活動を行っていた』。
 『改定が迫る中、原発がこのまま再稼働しなければ、日本はアジアで唯一認められた「再処理の権利」を放棄せざるを得なくなる』。
 そして、「再処理」に着手できなければ、約2.2兆円をつぎ込んで建設中の六ヶ所村の再処理工場は無用の長物と化し、『電力業界や融資した金融機関も、巨額の負債を抱え込む』。
 「細野ペーパー」が作成された背景には、こうした切迫した状況があった。
 そもそも、自民党の保守派議員には、「将来的に日本に核武装の選択肢を残すためにも、核燃料サイクルを維持すべし」という意見が根強くある。
■原発再稼働の主導権は国に残す?
 2013/06/14、非公開の自民党の資源・エネルギー戦略調査会で、会長の山本拓・元農水副大臣(60)が「原発再稼働の可否は、立地首長の判断に委ねられる」という文書を配った。
 ところが、原発推進派議員達が「回収しろ!」と噛みついた。
 『「国策として原発再稼働を進める以上、国に主導権を残しておかないと、自治体に生殺与奪の権を握られる」という論理』。
 山本氏が「しません」と机をドンドンたたいて反発すると、外野からヤジが飛ぶ大騒ぎに。
 なし崩し的に原発ムラの復権が進んでいる。
■海外に売った原発が稼働する頃には、安倍首相はその座にはいないだろう。
 だが、海外の原発で事故やトラブルが発生したり、再処理が進まず「核のゴミ」の処分が問題になったりする「危険」は、ほぼ永久に消えないのだ。