医療法で認められていない「再生医療」をうたった広告について、都道府県が把握していたのは
全国で5件にとどまっていることが7日、厚生労働省の調査で分かった。厚労省や専門家は
氷山の一角とみており、実態把握の難しさが浮き彫りになった。
調査は、効果や安全性の検証が不十分な「幹細胞治療」が自由診療で広がっている実態を踏まえ、
昨年4月からの約1年間に把握されたケースを、都道府県を通して調べた。
報告されたのは、東京都で2件、静岡県、大阪府、福岡県で各1件の計5件。いずれもクリニックに
よる広告で、▽新聞の折り込みチラシで「グロースファクター再生医療」と記載(静岡県)▽看板で
「東京再生医療センター」と記載(東京都)▽看板で「細胞再生医療センター」と記載(福岡県)
?などだった。このうち4件については、自治体が是正指導をしたという。
厚労省は4月、「再生医療」を掲げる広告の監視を強化する方針を打ち出している。調査を実施した
同省医政局総務課は、結果について「実際にこれだけのはずはないが、正確な実数の把握は難しい」
と漏らす。
今回の結果について、日本再生医療学会副理事長の澤芳樹・大阪大教授は「氷山の一角に過ぎない
のではないか。自由診療で再生医療をうたう広告が横行すれば、安全性が危ぶまれる医療が広がる
と懸念される。実態の把握が進むよう、関連法の成立が急がれる」と話す。
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http://mainichi.jp/select/news/20130608k0000m040125000c.html