【電機】日本人技術者の最大の受け皿・サムスン、出身企業の第1位はパナソニック [06/05]

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1ライトスタッフ◎φ ★
※長文記事のため抜粋です。

日本のメーカーは、ここ数カ月間でアベノミクスの潮流に乗り、全体としてはやや回復基調を
たどってきている。しかし個別に見れば、その多くの企業はいまだに苦境から脱したとは
言い難い状況であろう。また、2010年にはGDPが世界第三位へ転落、2011年には世界の特許
出願件数も第三位となるなど、近年の日本の相対的地位の低下は顕著である。この傾向は、
新興国の目ざましい成長や国内の人口減少予測に鑑みれば、打開するのは至難の業と言える。

■競争力の源は人財、しかし流出が絶えない

人財とは、組織にとって何よりまして重要なものと言える。実は近年、これに関して
大変深刻な問題がある。それは、日本人技術者の海外流出問題だ。日本のメーカーに所属していた
技術者が、リストラやヘッドハンティングなどを契機に、韓国、台湾、中国を中心とした海外の
企業に籍を移し、そこで業務をすることにより、それまで蓄積してきた様々な技術ノウハウを
流出させているというのである。これでは、せっかく育成した人財を失うどころか、競争相手に
利用されてしまう事態となり、状況としてはかなり深刻だ。しかし、この流出がどの程度のもの
なのかについて、調べられたデータは今まであまりなかった。

そこで今回は、今までベールに包まれてきた日本人技術者の流出問題に着目する。実際どのような
状況になっているのか、韓国サムスングループを例にとって、特許情報を活用しつつ分析していく
こととする。

■出願件数を大幅に減らす日本と増やす海外

図1は、日本特許庁への特許出願件数の推移をまとめたもの。特許出願総件数は、もともとは
年間約40万件で推移していた。その後、庁の負荷軽減・審査の迅速化を目指したいくつかの
法改正の影響もあって、漸減傾向が続いた。そして、前記のとおり2008年のリーマンショックを
受け、2009年から大幅な減少が認められる(未公開のものも反映させた出願件数のより正確な
数字は、特許行政年次報告書(2012年版)で確認できる)。これは、日本のメーカーの多くが
景気後退の打撃を受け、軒並み出願件数を減らした結果である。それを前後して(今も引き続き)、
多くのニュースが報道するとおり、多くの企業がリストラを敢行している。

●図1 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu1.jpg

ところが、日本への出願のうち、海外の企業はというと、特に中国企業の伸びが著しく、台湾企業は
ほぼ横ばい、韓国企業も2010年には回復基調に入っている。このことから、これらの国々の企業は、
リストラで職を失った日本人技術者の受け皿としての機能を発揮していることは想像に難くない。
また、リストラ対象とならないまでも、厳しい処遇を受けている日本人技術者は、技術を欲している
これらの国々の企業からみれば、優良なヘッドハンティング候補と言えよう。(※続く)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/?P=1
2ライトスタッフ◎φ ★:2013/06/05(水) 10:07:54.96 ID:???
>>1の続き

■最大の受け皿はサムスン

図2は、各国から出願された特許の中から、代表的な企業の件数・発明者数をまとめたもの。3カ国の
うち出願件数が最も多かった韓国企業においては、サムスンが最も多く、2位のLGを大きく引き離し
強い存在感を示している。韓国企業のデータは、件数が膨大なため、解析対象期間を2008年以降と
短くしているが、それでもなおサムスンの突出が目立ち、日本人発明者数も圧倒的に多い。

●図2 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu2.jpg

また、台湾企業では、鴻海の出願件数が最多。その日本人占有率は7.2%と極めて高いことが分かる。

一方、中国企業の存在感は薄く、日本人発明者も極めて少ない。WIPO(世界知的所有権機関)に
よれば、特許協力条約(PCT)に基づく2012年の国際出願は、企業別では1位にZTE、4位にファー
ウェイと、中国企業の躍進が目立っている(知財情報局のWebサイト参照)が、この2012年は未公開
の期間となっており、本データには反映されない。また、公開期間に入ったものでも、日本へ未移行
の場合は、本データには入らない(これらは、中国企業だけでなく、すべての出願人に共通)。
これらの事情から、新興である中国企業では、今のところ目立った動きを確認することはできないが、
今後間違いなく件数の増加が見込まれ、同時に日本人技術者の動向についても注目される。

以上を踏まえると、現時点のデータ上では、サムスンが、日本人技術者の最大の受け皿企業と言える。

●図3:サムスンの新規日本人技術者推移
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu3.jpg

■出身企業の第1位はパナソニック

サムスン横浜研究所を含めた、サムスングループに転職した日本人技術者は、もともとどこの企業の
出身なのか。2002年以降、同グループからの出願に名を連ねた日本人技術者485人を追跡し、彼らの
出身企業を集計したのが図4。日本の名だたるエレクトロニクスの雄の出身者が集まっていることが
確認できる。

●図4 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu4.jpg

なかでもパナソニック出身者が最多である。ここには、三洋電機出身者を含めておらず、三洋電機は
別途5位にランクインしている。次いで2位がNEC、3位が東芝、日立と続く。以下、データ上の
「サムスンの日本人技術者」は、すべてこの485人のことを指す。

■有機EL発展の陰に日本人技術者

サムスンの日本人技術者による出願を、技術分野ごとにまとめたのが図6。テレビやデジカメ、
スキャナーなどに係る画像処理・通信技術(H04N)が件数の上では最多であった。

●図6 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu6.jpg

■今後はリチウムイオン電池関連に傾注

では、サムスンの日本人技術者は、近年どんなテーマに傾注しているのだろうか。それを分析する
ために、技術分野ごとに特許出願推移をまとめたのが6。過去からのトータルでは、図8のとおり、
テレビやデジカメ、スキャナーなどに係る画像処理・通信技術(H04N)が最多であった。近年は、
リチウムイオン電池を始めとする電池関連技術(H01M)に注力していることが分かる。

●図8 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130530/248869/zu8.jpg