【ジュネーブ時事】世界貿易機関(WTO)の次期事務局長にブラジルのロベルト・
アゼベドWTO大使(55)が7日、選出された。新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)
が難航し、WTOの存在意義が問われる中、事態打開に向けた指導力の発揮が期待されている。
自由貿易推進を掲げ2001年に始まったドーハ・ラウンドは、鉱工業や農業、サービス
といった分野の一括合意を掲げた。しかし、世界経済で存在感を高めた新興国や開発途上国
と、日米欧など先進国が対立。11年に一括妥結を諦めた。
加盟国がメリットを受ける多国間貿易交渉が頓挫する一方、世界では地域間、2国間の
自由貿易協定(FTA)が主流になっている。日本が交渉参加を決めた環太平洋連携協定
(TPP)もその一例だ。
こうした中、アゼベド氏は「FTAが先行すれば多国間貿易体制は(遅れを)取り戻せ
なくなる」と懸念。ドーハ・ラウンドの停滞はWTOの存在意義をなくすと主張し、12月
にインドネシアで開く閣僚会議で「実績」を残すことを訴えている。
一方で先進国や新興国、途上国との調整の難しさを踏まえ、「新興国が(WTO交渉で)
大きな役割を果たすのは当然」と明言。先進国が主導しがちだった貿易交渉の在り方を再考
する意向を示し、特にアフリカ途上国の支持を集めたもようだ。
「多国間貿易体制は完全にまひ」と言い切るアゼベド氏が、新興国と途上国に目配りしつつ
、停滞する交渉の突破口を見いだせるか、手腕が問われることになる。
ソース:時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013050800526