ソースは
http://diamond.jp/articles/-/34314 ヤフー・ジャパンの宮坂学社長が提携相手とがっちりと握手を交わす光景は、
ずいぶんと見慣れたものになった――。
国内最大のポータルサイトを運営するヤフーは今年3月、無料通話・メールアプリを展開する
LINE(ライン)社と検索サービス事業で提携した。
これにより、LINEの持つ「NAVER(ネイバー)まとめ」がヤフーの検索結果に
表示されるようになる。ヤフーは、ニュースや知恵袋といったサービス同様に、人の手により
整理された情報コンテンツを手に入れたともいえる。
機械による検索サービスを行うグーグルに対抗していくものである。
もっとも、提携したLINEは、そのアプリの登録者数が1億人を超えている急成長企業だ。
スマートフォンのポータルサイトを目指しているとあって、本来はヤフーのライバルになる
存在である。ヤフーではLINEと競合するアプリ「カカオトーク」も展開しているので、
今回あえてライバル社との提携に踏み切ったと言える。
2012年より宮坂社長の新体制になってから、こうした提携は矢継ぎ早に行われてきた。
料理レシピサイトのクックパッドや口コミサイト「食べログ」のカカクコム、
ソーシャルゲームのグリーなどとの提携がそれだ。
ヤフーの売り上げのほぼ半分は広告収入である。
そのため、「全方位外交的」に、認知度の高いネットサービスと組み、サイトの集客を増やし
広告収入につなげようというのだ。
しかしながら、「打ち上げ花火ばかりで足元がおぼつかない」(ヤフー関係者)と言う声も
上がる。相次ぐ提携には一抹の不安も残る。
例えば、12年6月に提携したTポイントのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。
ヤフーとCCCとのポイント統合については大きな話題となったが、昨秋の会社設立以外に
具体的なことが何も聞こえてこない。
ヤフー広報室は「話し合いは順調に進んでいる」(ヤフー広報室)と言うが、「IDの統合を
めぐってうまくいっていない」という見方もある。
さらに、売り上げの2割を占め、広告関連事業に次ぐコマース関連事業が足踏みしているのも
懸念材料。ここ1年間をみても、楽天の楽天市場が四半期ベースで二桁成長を遂げているのに
対して、ヤフーのEコマースは数%の成長率に過ぎない。
その楽天をしのぐペースでアマゾンも成長しているので、Eコマース事業関係者からは
「業界3位のヤフーの存在感が薄くなっている」と言う声が上がる。
当日・翌日配送のできる物流に強い、オフィス用品通販大手アスクルと資本提携をしたことが、
宝の持ち腐れになってしまう可能性がある。
一見、華々しく提携を打ち出しているものの、ポイント統合やEコマースなどのように
必ずしも成果が十分に表れていないものは少なくない。
事業戦略の整合性がうまく説明できないものもある。
冒頭の敵となりうるLINEと手を組むのは、その一例と言える。
それでも、好業績を維持する宮坂社長への期待が高いのも事実だ。
権限委譲を進め、社内の士気も高まっているようだが、「爆速」で進んだ先に一体何を残せる
のか。宮坂体制の勝負の新年度が始まった。
 (「週刊ダイヤモンド」編集部)
-以上です-