少し前の話ではあるが、広島県の牡蠣養殖業者で、中国人研修生が社長と従業員を殺し、
他6人に重軽傷を負わせるという凄惨な事件があった。(*1)
容疑者の中国人は、作業がキツかったことや、会社で唯一の中国人実習生であるという
孤独感などが募った結果として、このような犯行を行なってしまったようだ。
記事には「熱心な指導に対し、逆恨み」と書かれているが、一体それがどのような指導
だったのか。少なくとも殺意を募らせるような指導であったことだけは間違いがない。
別の報道によると、殺された会社社長は、容疑者を旅行に連れて行き、食料の手配をする
など、手にかけていたとされている。(*2)しかし僕から言わせて貰えれば、それこそがまさに
「奴隷扱い」というしかない愚行である。
容疑者の研修生はお金を目的に来日し、きつい作業やつらい人間関係に耐えているのだ。
それに対して十分な賃金を支払うのではなく、社員旅行と称して休みまで拘束し、コメ程度
で恩を売るという、その独善性が腹立たしい。そして、それを「従業員思いの素晴らしい人
」だと思い込んでいる周囲に対しても、研修生は怒りを抑えられなかったのだろう。
そもそも、研修制度といっても、その大半は研修とは名ばかりの単純労働である。時給が
安く、体力的にもキツく、そしてなにより将来性が全くないために、日本人の若い労働者が
集まらない地方零細企業に、安い外国人労働者をあてがうのが、外国人研修制度の正体である。(*3)
研修生たちは安い賃金で働かされるが、為替レートの関係で日本人にとっては安い賃金でも
、研修生には高い給料だと指摘する人もいる。しかし、彼らも日本で生活をする以上は、
お金を日本円として使うことも多く、更にそこから仕送りをするのだから、その生活は
苦しい。ましてや昨今は、アベノミクスでインフレ円安傾向が続いているのだから、これ
まで以上に研修生たちが得られるお金は目減りしていくはずだ。
ソース
http://blogos.com/article/59129/?axis=b:1 (つづく)