外食チェーン最大手の米マクドナルドが、ロシアのモスクワに同社初の店舗を出店してから20年以上が経過した。
同国のファストフード市場で先駆的存在だった同社は今、同業のライバル大手らがロシア市場への攻勢を強めるなか、守勢に立たされている。
マクドナルドに続いて、バーガーキング・ワールドワイド
やサブウェイ・レストランツ、ヤム・ブランズ、ウェンディーズといった米ファストフード大手が相次いでロシア市場に進出。
現在は各社がしのぎを削っている。
競合各社の攻勢に対抗すべく、マクドナルドは新たな戦略として、年内にロシアでフランチャイズ方式による店舗運営に乗り出す。
海外で展開する同社店舗の80%以上はフランチャイズ方式で運営されているが、ロシアではこれまで導入されていなかった。
品質管理が十分に行えない恐れがあることが理由としていた。
国内の空港や駅でのフランチャイズ店展開を目指し、現地企業のロシンター・レストラン・ホールディングと提携する。
同社はまた、全ロシア領域の3分の2を占めるシベリアなど、遠隔地への進出も計画している。
マクドナルドのロシアでの事業責任者、ハムザ・ハズブラートフ氏は「ロシアはマクドナルドにとって重点市場の一つ。
フランチャイズ方式の店舗展開は、当社の成功に重要な役割を果たすだろう」と指摘する。
ロシアにハンバーガーとフライドポテトの市場を創出したのはマクドナルドだ。
ロシア人が食べ物を手に持って食べる習慣を受け入れるようになったのも、同社の進出がきっかけだった。
マクドナルドがモスクワのプーシキン広場に出店したロシア第1号店前には、オープンから4年間、長蛇の列が途絶えることがなかったという。
マクドナルドは現在、ロシアのファストフード市場で43%のトップシェアを握る。
欧州市場は同社の世界売上高の5分の2を占めることから、ロシアでシェア首位の座を保持することは戦略上、極めて重要だ。
ロシアのファストフード市場は12年、対前年成長率が18%と堅調な伸びを見せた。
市場調査会社ユーロモニターの予測では、16年まで毎年平均7%ずつ市場が拡大するとみられている。
ハズブラートフ氏によると、マクドナルドの昨年の売り上げはロシア市場で10%増加したが、欧州域では減少した。
同社は現在、ロシア全国で356店舗を展開中だが、今後は出店ペースを速め、3年間で150店舗を追加する計画だ。
サブウェイは514店、バーガー・キングは86店、ヤム・ブランズ傘下のケンタッキー・フライドチキンは196店を、それぞれロシアで展開している。
(ブルームバーグ Ilya Khrennikov)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130319/bsk1303190503003-n1.htm モスクワのマクドナルドでもビッグマックは人気商品。今後はフランチャイズで店舗増を目指す(ブルームバーグ)
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