ソースは
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130221/mcb1302210500005-n1.htm http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130221/mcb1302210500005-n2.htm 人口増とともに世界の水不足が深刻化するなか、海水淡水化産業が急速に成長している。
脱塩技術の革新とともにコストが下がり、水資源の確保に悩む政府の頼みの綱となっている。
「海水淡水化産業は年間およそ15%のペースで成長している。人口が増えればどの国も
淡水化に頼るほかない」。スペイン水処理大手、アクシオナ・アグアの国際建設ディレクター、
フリオ・ソリジャ氏はこのように話す。
国際脱塩協会(IDA)のデータによれば淡水化プラントの造水能力は2001〜11年で
276%増加し、1日当たり67億立方メートルに拡大。現在はサウジアラビアを筆頭に、
世界でおよそ1万6000カ所のプラントが稼働している。
チリ北部アタカマ砂漠に位置する人口16万人足らずのコピアポ市は昨年、毎日のように
断水に見舞われた。鉱山会社が大量の用水をくみ上げる地下水層が枯渇したためで、
事態を懸念したチリのピニェラ大統領は採掘業者に対策を要請。英アングロ・アメリカンは
現在、コピアポから60キロの太平洋沿岸に総工費1億700万ドル(約100億円)の
海水淡水化プラントを建設している。
今年後半に完成予定の同プラントからはマントベルデ銅山へ毎秒およそ120リットルの
真水が供給され、銅の精錬に必要な用水を十分確保できる見通しだ。
チリ経済成長の牽引(けんいん)役である鉱業の存続にかけて、他の鉱山会社2社も同様の
淡水化プラントを建設している。
チリのロレト・シルバ公共事業相は「今ここで淡水化事業に踏み切らなければ、水不足は
チリの経済発展に大きな障害となる」との見方を示す。
世界の全人口は年間およそ7400万人のペースで急増しており、水不足は一層深刻な問題と
なりつつある。世界銀行が出資する2030年水資源グループは現在のペースで人口が
増加し続ければ、30年までに世界の水需要量は供給量を40%上回ると推計している。
海水淡水化は水不足問題の万能薬ではない。
地下水の取水よりもコストが高く、大量の海水を利用するため海洋生物への悪影響も懸念
されている。しかしオーストラリアや中国、イスラエル、アラブ首長国連邦、米国など
危機的な水不足に直面する国の政府は国内に淡水化プラントを次々と建設している。
大量のエネルギーを必要とする蒸発法に替わり膜濾過(ろか)法が開発され、淡水化コストが
下がったことも普及を後押ししているようだ。
イスラエルの造水大手、IDEテクノロジーズのアシュバロム・フェルバー最高経営責任者
(CEO)は膜濾過法の導入で処理コストは1立方メートル当たり3ドルから1ドル未満に
下がったとし、エネルギー効率を高める新技術を利用すれば同50セントにまで削減できる
と説明。「技術革新とともにコストは下がり続ける」との考えを示した。
(ブルームバーグ Matt Craze)
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