欧州の株式引き受けランキング首位の米銀ゴールドマン・サックス・グループは今年、
スペインとイタリアの銀行の株式発行の引き受けを見送った。欧州の債務危機は発生から4年目を迎えるが、
米証券業のトップ企業で南欧金融機関の資本調達に関与していないのはゴールドマンだけだ。
ゴールドマンは今月、ポプラール・エスパニョール銀行による25億ユーロ(約2670億円)相当の割当増資の引き受けを断った。
事情に詳しい関係者2人が明らかにした。予想される損失を回避する保証の拡大を望んだことが背景にある。
JPモルガン・チェースとモルガン・スタンレーが保証に関与している。
イタリアのウニクレディトとポルトガルのエスピリト・サント銀行が今年に入って行った株式発行についても、
バンク・オブ・アメリカ(BOA)とシティグループが応じたが、ゴールドマンは引き受けなかった。
ゴールドマンはセールスとトレーディングが今年の収入の55%を占めるが、
イタリアの保険会社フォンディアリアのように株価が下落する場合に危険を伴う引受手数料については獲得のチャンスを見送っている。
ゴールドマンのコーン社長兼最高執行責任者(COO)は1カ月前、ユーロ圏が分裂せずにいられる可能性はごくわずかとの見方を示し、
同社の株式ストラテジストも南欧に依存する企業に警戒するよう投資家に警告を発している。
メディオバンカの銀行アナリスト、クリストファー・ウィーラー氏(ロンドン在勤)は
「ゴールドマンは選別に徹し、どのディールに関わりたいかの選択を戦略的に行うことが可能だ」と指摘。
ゴールドマンの市場のポジションからすれば、関与することを望めば、それらの顧客の元に戻ることができるだろうと話している。
(ブルームバーグ Elisa Martinuzzi)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121127/bsk1211270505003-n1.htm