【電気機器】日立復活への道、テレビ生産撤退が切り開く 日本の家電各社と明暗[12/11/14]

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1やるっきゃ騎士φ ★
ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDF2396JIJX001.html

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11月14日(ブルームバーグ):大阪市を一望できる通天閣の巨大広告で
「日立プラズマテレビ」が「日立エレベーター」に1年前差し替えられた。
これが現在の日立製作所 復活を象徴する。
汎用品化した薄型テレビ生産から撤退した日立は得意分野に特化して収益を膨らませた。
事業の大胆な選択と集中は巨額赤字に陥るシャープ やパナソニック の処方箋になるかも
しれない。

通天閣の広告はテレビ事業撤退を意味しないとしながら、
「基本的には5年程度を見据えて検討した結果だ」と日立関西支社の中野晃総務部主任は
明らかにした。高度経済成長期に「三種の神器」の一角を占めたテレビは、
日本の電機メーカーが世界をリードするけん引役にもなった。
いまやデジタル化で急速に差別化が困難になり、日本の家電各社の赤字の源泉にも
なっている。

日立は8月に岐阜県でのテレビ生産を停止、56年の生産の歴史に幕を閉じた。
自社ブランド「Wooo」は、海外企業のOEM(相手先ブランドによる生産)で
調達する。汎用品となったテレビは低価格品が有利。
米調査会社ディスプレイサーチによると4−6月の世界シェアは、サムスン電子29%、
LG電子15%と韓国勢が1、2位を占め、ソニー の8.3%、パナソニック、シャープと
続く。

テレビ縮小を日立が決断できた契機は、2009年3月期での7873億円の赤字だった。
創業100年を翌年に控えて製造業で過去最大の損失を計上した日立は、
子会社から舞い戻る形で川村隆氏が会長兼社長に就任、改革に取り組んだ。
4月の就任会見で川村氏は、信頼・効率的な情報通信技術に支えられた
社会インフラである社会イノベーション事業が独自の強みとしてこの分野への注力を
表明した。

■再編続ける
当時副社長だった中西宏明氏が1年後に社長に就任、改革路線を引き継いだ。
社会イノベーション事業はインフラシステム、情報通信システム、電力システム、
産業交通都市開発システムなどの主要事業とそれを支える材料・キーデバイスで
構成されている。地域としては中国やインドなどアジアの新興国経済と欧米など
先進国を視野に入れて成長戦略を描く。同時に中核と位置付けた事業以外は距離を
置いている。

社会イノベーション枠から外れた、利益の出にくい事業は整理統合を進め、
テレビ自社生産の撤退はその一環だった。09年には日立マクセルなど上場子会社5社の
完全子会社化を発表して企業再編に取り組み、拡大・拡散しつつあった事業を整理した。
13日には日立金属 と日立電線 が来年4月の経営統合を発表した。統合後、グローバルな
事業展開に向けた体制づくりを目指すという。

さらに出資していた半導体会社のルネサステクノロジをNECエレクトロニクスと
10年4月に統合。同年6月には液晶パネル事業でIPSアルファテクノロジを譲渡した
ほか、携帯電話事業をNECと統合、12年3月には
ハードディスクドライブ(HDD)事業子会社を米社へ売却した。

-続きます-
2やるっきゃ騎士φ ★:2012/11/14(水) 16:13:01.16 ID:???
-続きです-
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■決断する戦略を評価
内外家電各社の戦略に詳しい早稲田大学ビジネススクールの長内厚准教授は、
日立のテレビ生産撤退について「非常によい判断。社内、顧客、広くステークホルダーの
安心感を保ちながらタイミングを計って決断する戦略は日本の家電メーカーでは
現時点では一番上手だといえる」と述べた。
HDD売却についても「日立は、きちんと価値のあるうちに売却する判断をしたが、
事業がもうからなくても塩漬けにしてしまう日本のメーカーは多く、見習うべき部分は
多い」と指摘した。

日立広報担当の紺野篤志氏によると、日立が過去に赤字事業の抜本的な改革が
遅れた理由を中西社長は「日本にありがちな先輩の顔が見える経営判断を尊重しすぎた
傾向にあったのではないか」と指摘。
事業を切り離す決断ができたのは「7800億円の赤字があって、その危機感が
ドライバーになり、いちいち説明する必要がなかったため。決断としては比較的
楽だった」と中西社長が語ったという。

国内の事業再編だけでなく、世界的な競争での勝ち残りを目指している日立にとり、
国際展開への社員の意識浸透とグループ内の価値の共有化は不可欠だ。
5月の業績説明会で中西社長は「グローバルで事業展開するためにはわれわれ自身が
グローバルなメジャープレーヤーにならなくてはならない。これが重要なポイントに
なる」と強調した。

■初の海外での取締役会
この一環で12月には初の海外での取締役会を開催する。
場所は昨年6月に海外の第5番目の統括地域に加えたインド。
グローバル化を全グループ社員を含め社内外に強く打ち出す好機とする考えだ。
中西社長は「タウンホールミーティング」と称するグループ社員との直接対話も
重視している。約32万人のグループ社員への中西イズムの理解と浸透、
現場の意見吸い上げが目的で、国内外に社長自ら足を運び、少人数での会合をこなす。
就任から約2年半で約30数回に達した。

中期経営計画にも盛り込まれた日立の今期(13年3月期)予想は売上高9兆円、
営業利益率5.3%、純利益2000億円が目標。
日立は過去に中期計画で達成できた例がない。今期純利益は、過去最高だった前期に比べ
減益とはなるが、3期連続の黒字予想で、目標はほぼ達成する見通しだ。

日立は、クラウドなどの情報・通信システム分野で今期の営業利益1200億円と
全体の4分の1を稼ぐ見込み。金融分野への大型案件から堅調な見通し。
続いて自動車向け製品を中心に増収を見込む高機能材料事業で800億円を予想。
エレベーターを含む社会・産業システム事業の見込みは560億円で、これらの事業が
利益押し上げに貢献する見込みだ。

-続きます-
3やるっきゃ騎士φ ★:2012/11/14(水) 16:13:07.88 ID:???
-続きです-
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■日立と同様の決断は難しい
これに対してパナソニック の今期は7650億円の純損失、シャープは4500億円の純損失
の見通しだ。パナソニックは薄型テレビのほかデジタル製品の不振で構造改革の必要に
迫られたため。シャープも液晶や太陽電池の不振が続き、リストラ負担などが重荷に
なっている。

調査会社BCNの道越一郎エグゼクティブアナリストは、
日立と同じようにパナソニックやシャープがテレビ事業の縮小を決断できるかについて
「それは極めて難しい」と語った。メ−カー各社は現在、価格競争とは違う価値を
生み出せるように取り組んでいるが時間はかかりそうだとも予測した。

テレビをAV事業の主力に据えるシャープ、パナソニック、ソニーなどは生産を続ける。ソニーでは、テレビ事業の黒字転換に向け、販売台数を追わない縮小均衡策を進め、
採算性の高い大型・高精細製品に注力する方針。

■かつてはシェア拡大にまい進
ソニーはかつてシェア拡大にまい進、液晶テレビの出荷額で06年に16%までシェアを
伸ばし初の世界一になったこともある。
当時、2位はサムスン電子でシャープ、欧州のフィリップス、LG電子が続いた。
現在は世界シェア上位2社には韓国勢、背後には低価格を武器にシェア拡大を狙っている
中国メーカーが控えている。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、
「ソニーはコンシューマー・エレクトロニクスが主力だが、そこに付加価値を
加えることができずにいる」と指摘。それに比べ、持てる力をインフラと成長市場である
新興国に注力しているのが日立だと評価した。

-以上です-