ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDF2396JIJX001.html [1/3]
11月14日(ブルームバーグ):大阪市を一望できる通天閣の巨大広告で
「日立プラズマテレビ」が「日立エレベーター」に1年前差し替えられた。
これが現在の日立製作所 復活を象徴する。
汎用品化した薄型テレビ生産から撤退した日立は得意分野に特化して収益を膨らませた。
事業の大胆な選択と集中は巨額赤字に陥るシャープ やパナソニック の処方箋になるかも
しれない。
通天閣の広告はテレビ事業撤退を意味しないとしながら、
「基本的には5年程度を見据えて検討した結果だ」と日立関西支社の中野晃総務部主任は
明らかにした。高度経済成長期に「三種の神器」の一角を占めたテレビは、
日本の電機メーカーが世界をリードするけん引役にもなった。
いまやデジタル化で急速に差別化が困難になり、日本の家電各社の赤字の源泉にも
なっている。
日立は8月に岐阜県でのテレビ生産を停止、56年の生産の歴史に幕を閉じた。
自社ブランド「Wooo」は、海外企業のOEM(相手先ブランドによる生産)で
調達する。汎用品となったテレビは低価格品が有利。
米調査会社ディスプレイサーチによると4−6月の世界シェアは、サムスン電子29%、
LG電子15%と韓国勢が1、2位を占め、ソニー の8.3%、パナソニック、シャープと
続く。
テレビ縮小を日立が決断できた契機は、2009年3月期での7873億円の赤字だった。
創業100年を翌年に控えて製造業で過去最大の損失を計上した日立は、
子会社から舞い戻る形で川村隆氏が会長兼社長に就任、改革に取り組んだ。
4月の就任会見で川村氏は、信頼・効率的な情報通信技術に支えられた
社会インフラである社会イノベーション事業が独自の強みとしてこの分野への注力を
表明した。
■再編続ける
当時副社長だった中西宏明氏が1年後に社長に就任、改革路線を引き継いだ。
社会イノベーション事業はインフラシステム、情報通信システム、電力システム、
産業交通都市開発システムなどの主要事業とそれを支える材料・キーデバイスで
構成されている。地域としては中国やインドなどアジアの新興国経済と欧米など
先進国を視野に入れて成長戦略を描く。同時に中核と位置付けた事業以外は距離を
置いている。
社会イノベーション枠から外れた、利益の出にくい事業は整理統合を進め、
テレビ自社生産の撤退はその一環だった。09年には日立マクセルなど上場子会社5社の
完全子会社化を発表して企業再編に取り組み、拡大・拡散しつつあった事業を整理した。
13日には日立金属 と日立電線 が来年4月の経営統合を発表した。統合後、グローバルな
事業展開に向けた体制づくりを目指すという。
さらに出資していた半導体会社のルネサステクノロジをNECエレクトロニクスと
10年4月に統合。同年6月には液晶パネル事業でIPSアルファテクノロジを譲渡した
ほか、携帯電話事業をNECと統合、12年3月には
ハードディスクドライブ(HDD)事業子会社を米社へ売却した。
-続きます-