シェール・ショックで米国の工業界復活!取り残される欧州 Telegraph: 7:08PM GMT 28 Oct 2012
http://www.telegraph.co.uk/finance/comment/ambroseevans_pritchard/9639192/Europe-left-behind-as-shale-shock-drives-Americas-industrial-resurgence.html 米国のシェール・ガスの驚異には驚かされっぱなしです。米国の実に様々な工業が世界的
ライバルに対して、エネルギー費の面で巨大かつ持続的なアドバンテージを手に入れた、
という新たな証拠が毎日のように出てきて、同国の没落に関する憶測を打ち壊しています。
ロイヤル・ダッチ・シェルは、ピッツバーグに近いビーバー郡にある、かつては斜陽化する
鉄鋼業峡谷に、エタン製造工場を建設する計画です。ダウ・ケミカルはベルギー、オランダ、
スペイン、英国、日本での事業を閉鎖しつつありますが、天然ガスの価格が世界的水準の
数分の一であり、同社の投資サイクルが回り切るまでそれが続きそうな、テキサス州での
プロピレン事業に資金を注ぎ込んでいます。
米国の石油化学工業では、約50の新規プロジェクトが発表されました。
エチレンや肥料の製造工場だけでも、300億ドルもの大規模投資が進められています。
米国化学工業協会の研究によれば、シェール・ガス祭で化学、プラスチック、アルミニウム、
鉄鋼、ゴム、被覆金属、ガラス業界の運命は逆転したとのこと。
「こんなことは5年前には考えもつかなかった」とカル・ドゥーリー副会長は言いました。
これと並行して進行しているのは、機械、電気製品、輸送機器、家具といった他の業界の、
中国から米国への「回帰」です。過去十年間に亘って年率16%で上昇した中国の賃金が
ゲームを変えました。ハウスクーパーズはこれを「ホームカミング」と呼んでいます。
化学工業の復活は非常に大きなドラマではありますが、米国のエネルギー復活というより
大きなドラマの副産物です。多くの読者が目にすることになると思いますが、米国エネル
ギー省は先週、米国の来年の石油、バイオ燃料、液化炭化水素日産量は1,140万バレル
になる、つまりサウジアラビアと同じくらい生産すると発表しました。
米国は2014年には世界最大のエネルギー生産国になるようです。
2020年までに「エネルギー自立」という至高の目標達成に迫るでしょう。
太陽光発電と陸上風力発電も貢献してはいますが、これは主にシェール・ガスとシェール
・オイルを採取する水圧砕破技術(ウォーター・ジェットで岩石を破壊する)のおかげです。
ヨーロッパは逆方向に、エネルギー自殺へと向かいつつあります。福島原発事故の後、
原子力発電を閉鎖する日本も同様です。中国はもっと冷徹ですが、そうでなければ
ならないのです。この国では毎年2,000万台も自動車が増えているのです。
中国の石油輸入は年間50万バレル/日ずつ増えています。
先週の時点で、米国の天然ガスの価格はヨーロッパのおよそ3分の1でした。ドイツの
化学工業グループ、BASFは、製造費で米国に対抗することはもう不可能だとしました。
日本が原発廃止を埋め合わせるべくLNGを大量購入しているため、アジアはより大きな
ハンデを負わされつつあります。太平洋沿岸地域での価格はおよそ15ドル/Btuですが、
米国では3ドルです。