10月16日(ブルームバーグ):ここは資源より富裕層の居住地として知られる
アイルランドの村だ。セレブを見掛けることも多い。この村の住民たちは原油掘削に
反対する決意を固めている。
アイルランドの石油・ガス会社プロビデンス・リソーシズと共同出資企業は9月27日、
ダルキーの東方7キロメートルに位置するダブリン湾での試掘について認可を取得した。
ダルキーにはアイルランド出身のロックバンド、U2のリーダー、ボノや
ミュージシャン、ヴァン・モリソンの住居がある。
住民たちの間では、将来の投資を歓迎する声がある一方、景観への影響を懸念する見方も
あり、意見が対立している。
「万一、原油が流出したら住民にとっては災難だ。企業は商業掘削の認可は決して
取得できないだろう。富裕層の住民たちがうまく取り計らってくれると思う」。
著述家のジョン・オサリバンさん(66)は掘削が予定されている海辺を歩きながら
そう語った。
アイルランドの海域では実行可能な油田は発見されていないが、
地元議員や環境保護団体はプロビデンスとの対立に備えている。
同社は沿岸地域について、新たな北海となる可能性があると指摘する。
オイル・アンド・ガスUKによると、北海の原油・ガス生産による英国の税収は
過去40年間で4800億ドル(約37兆8300億円)以上に上る。
■リセッション脱出の糸口
アイルランドはユーロ圏で国際的な支援を要請している5カ国の1つ。
プロビデンスのトニー・オライリー最高経営責任者(CEO)は、天然資源開発が
同国にとって近代史上最悪のリセッション(景気後退)からの脱出につながる可能性が
あるとの見方を示す。
プロビデンスは7月、アイルランドの南の沖合約30マイル(約48.3キロメートル)に
位置するバリーロー鉱区で10億バレル以上の原油を発見したと発表した。
オライリーCEOはこのプロジェクトについて、原油価格が20ドルか30ドルに
下落しても利益につながる可能性が高いとの見方を示した。
株式ブローカー、デービー(ダブリン)の石油・ガスアナリスト、
ジョブ・ラングブローク氏は、プロジェクトが成功する確率を20%とみている。
ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBYSY16S972901.html