日本触媒の姫路製造所(兵庫県姫路市)で29日発生した爆発事故で、紙おむつの製品供給に影響が出そうだ。
同社は紙おむつ向け樹脂で世界シェア約3割を握る最大手。
新興国の紙おむつ需要の拡大を追い風に同業各社のフル生産が続く。
同樹脂の価格高騰も予想され、影響が広がる懸念がある。
事故が起きたのは紙おむつ向け高吸水性樹脂「SAP」の原料となるアクリル酸の製造設備。
詳細な被害状況は不明だが、事故調査と原因究明、再発防止策の策定などで「半年は止まる可能性が高い」(業界関係者)との声がある。
同社のSAPの生産能力は年47万トン。うち32万トンを姫路製造所で生産している。
ベルギーや米国の工場もフル操業しており代替生産は難しい。在庫は1カ月程度という。
紙おむつメーカーでは米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がアジア向けの紙おむつに使うSAPを日本触媒から全量調達している。
一定の在庫は確保しているとみられるが影響は避けられそうにない。
紙おむつメーカーによってSAPに求める吸収スピードや保水力などが異なり、
化学品メーカーと共同で独自製品を開発することが多く、調達先をすぐに切り替えることは難しいからだ。
一方、紙おむつの国内市場で子供用で約4割、大人用で約5割のシェアを握るユニ・チャームは日本触媒から原料を仕入れていないため「すぐの影響はない」という。
花王も影響は限定的とみる。
ただ、SAPの供給量が長期間落ちると「代替原料の調達競争が始まり価格高騰を招く」(化学メーカー)という。
日本触媒はSAP需要の拡大で2012年3月期まで2期連続で最高益となるなど好調に推移していたが、事故により収益が圧迫される可能性が高い。
ソース:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2904T_Z20C12A9TJC000/