東芝は安価に作れる次世代太陽電池として期待されている有機薄膜太陽電池で、
5センチメートル角という実用に使いサイズのモジュールを試作し、変換効率7・7%を達成した。
これまでの最高記録5・2%を超えた。新たな有機材料を開発し、新たな塗布技術を使った。
2012年度中により実用に近い30センチメートル角の試作ラインを作製し、
13年度中に同サイズで実用化の目安となる変換効率10%を目指す。
有機EL照明の生産技術「メニスカス法」を応用した。材料の表面張力を使った塗布法で、
今回、光を電気に変える光電変換層と、光電変換層と電極の間に挟む中間層を製膜するのに同法を使った。
有機薄膜太陽電池を構成する有機層は、数十ナノ―数百ナノメートル(ナノは10億分の1)の薄さが求められる。
同法は従来法と比べ、ナノサイズの膜厚でも均一に製膜でき、大面積化に向いているという。
また、ストライプ状に塗布できるので、スクライブが不要になるなどのメリットもある。
今回の試作では、アルミ電極の製膜には真空蒸着を用いたが、
将来は透明電極を含め全ての製膜工程を同法で行えるよう改良する。
光電変換層のn型半導体には純度の高いフラーレン化合物を用いた。
p型半導体は独自に開発した高分子材料を用いたが、材料の詳細は明らかにしていない。
セル間のショートを防ぐために、
絶縁層を配置するなどモジュール設計を最適化したことも、高い変換効率の実現につながった。
薄型や軽量であることを生かして、建材一体型や分散型電源などの用途を想定しているが、現時点で事業化の時期は未定。
http://www.nikkan.co.jp/dennavi/news/nkx0320120920qtkf.html 試作した5cm角の有機薄膜太陽電池
http://www.nikkan.co.jp/dennavi/news/images/nkx20120920qtkf-01.jpg