【株式】水面下で広がる日本企業の信用不安…経営体質が著しく低下[12/09/05]

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1やるっきゃ騎士φ ★
ソースは
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120905/biz12090511040006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120905/biz12090511040006-n2.htm

株式相場がさえない。
日経平均株価は8月20日の取引時間中に9222円をつけた後、調整含みの展開になり、
9月3日には8773円の安値を付けた。
市場では、米国をはじめとする世界経済の先行き不透明感が払拭しきれないため、との解説が
支配的だが、果たしてそれだけだろうか。
(ジャーナリスト・山口義正 フジサンケイビジネスアイ)

実はこのところ、株式市場ではきな臭い話題に事欠かない。
ある鉄鋼メーカーは業績の低迷が続き、与信を気にする取引先から信用調査会社に対して
「あの会社は大丈夫か」との問い合わせが殺到している。
ある中堅海運会社も業績の悪化により、銀行借入金の財務制限条項に抵触する恐れが強まり、
役員が作ったばかりの経営再建計画を携えて大株主や取引銀行に説明に回らなければ
ならなくなった。銀行借入金や社債には赤字が続いたり、純資産が一定水準以下になると
「期限の利益を喪失した」として、借金を返済したり、担保を差し出さなければならなく
なることを定めた契約が結ばれているためだ。この海運会社では株式市場向けに今月中にも
再建計画を公表する予定だという。他にも有価証券報告書に「継続企業の前提に疑義」と
記されている銘柄はいくらでもある。

シャープやオリンパスの資本注入ばかりが話題になり、その陰に隠れる格好になってはいるが、
このところこうした例がじわじわと増えている。経営体力が著しく低下しているのだ。
これらの中に、企業として成熟度が高いはずの老舗企業が多く含まれている点も気掛かりだ。

1997〜2003年にかけて、日本では建設や不動産、流通を中心に、100社を超える
上場企業が経営破綻に追い込まれた。これらの多くは資産の中身に問題があったことが
命取りになったが、昨今の信用力低下は円高や資源高による国際競争力の低下によるもので
あるだけに、より性質が悪い。
バランスシート上の問題ならば、十分な資本を注入して身ぎれいにしてやりさえすればいいが、
国際競争力の低下による業績悪化に歯止めがかからなければ、資本を注入したところで
食いつぶしてしまうだけに終わる。

8月31日現在、東証一部でPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいるのは
1651銘柄中、1200銘柄。実に73%の銘柄が解散価値に満たない株価に甘んじている。
これを「PER(株価収益率)やPBRなどの投資尺度からは説明がつかないほど割安な
銘柄が数多く放置されている」と評する市場関係者は多い。
間違いではあるまいが、日本企業の存続に対する先行き不透明感が、上値の重い株式相場や
投資尺度に表れているのも否定できない事実であろう。

日本の失われた10年は「第2の敗戦」とも言われる。
しかし現在、市場の水面下で芽生えつつある信用不安は、既視感を伴いながらも「第3の敗戦」
と呼ぶべきものかもしれない。

-以上です-