>>131 郭董事長の出資などにより、堺工場の運営会社「堺ディスプレイプロダクト」は、
8月末にもシャープの連結対象から外れ、シャープは一息つけるはずだった。
ただ、問題は堺だけではない。「世界の亀山」として一世を風靡した亀山工場も厳しくなっている。
アクオス用パネルの主力拠点だった第2工場は、テレビ販売の失速で、昨年、生産品目を中小型パネルに転換した。
が、もともと大型パネル生産に最適化した巨大工場ゆえ、中小型パネルでは大量生産が見込める製品向けでなければ採算は合わない。
月100万〜200万台の注文があるアイパッドと、任天堂が7月に発売を開始した携帯用ゲーム機、
ニンテンドー3DSLLの大口受注は確保した。ただ、この2製品だけでは稼働率はよくて6割にとどまる。
今春にはマイクロソフトのタブレット端末サーフェス向けパネルの受注を目指したが、サムスン、LG電子に奪われた。
アップルのパソコン用の年末商戦向け受注も逃した。結果、前出の2製品以外に目ぼしい生産品目がない。
量産難航し商機逃す
戦略製品であるはずの「IGZO液晶」も誤算となった。IGZOは高解像度と低消費電力の特長を持つ新型パネルで、シャープが今年、
世界で初めてアイパッド向けに量産を開始した。しかし、アイパッド用パネルを供給するLG、サムスンはIGZOを採用していないため、
せっかくのIGZOも、ほかの液晶と同レベルまで性能を落とさざるをえない。
しかもIGZOラインの立ち上げが難航し、現在も歩留りが上がらない。生産コストは高止まりするうえ、生産量が増えないため、
アイパッド向けの納入量はLG、サムスンの後塵を拝する。そうこうするうちに、7月下旬からアイパッド用パネル自体が生産調整に入った。
亀山第1も楽観できない。アイフォーン5(仮称)が採用する組み込み式タッチパネルの歩留りが上がらないのだ。
同パネルの量産では競合のジャパンディスプレイ、LGも苦戦しているが、ここで後れを取ればダメージは計り知れない。