【サンノゼ(米カリフォルニア州)】
米連邦地裁で争われた米アップルと韓国のサムスン電子による特許権侵害訴訟で、
9人で構成される陪審団は22日の議論開始直後、最初の論点でさっそく行き詰まった。
「イエス」が7人、「ノー」が2人となったためだ。最初の論点とは、
サムスンは画面が端で跳ね返って戻る「バウンスバック」技術でアップルの特許を侵害したか、というものだ。
ホワイトボードにタリー(数を数えるための線)を書いて「イエス」と「ノー」のそれぞれの票数を確認した陪審員らは証拠をあらためて調べることを決めた、
と陪審員の1人だったマニュエル・イラガン氏(59)は取材で明かした。
陪審員らは三菱によって開発されたタッチスクリーンのタブレット端末に電源を入れ、証拠のビデオを見た。
このタッチスクリーンのタブレット端末は、
こうした端末を最初に考案したのはアップルではないとするサムスンの主張を裏付ける証拠として提示されたものだ。
陪審員らは連邦地裁の会議室にある大きな楕円(だえん)形のテーブルの回りに集まった。
部屋の片側には大きなホワイトボードが置かれ、反対側には冷蔵庫とコーヒーメーカーが設置されている。
陪審員らはビデオを「それは、それは注意深く」見たが、「ノー」の2人が翻意しなかったため、
先に進むことにした、とイラガン氏は言う。「われわれは、ここに留まりたくなかった」と、
回路基板を作る会社でマーケティングを担当するイラガン氏は話す。
「バウンスバック」の特許技術について、陪審団は最終的に全会一致でサムスンによる特許の侵害があったと判断している。
イラガン氏によると、「バウンスバック」技術は陪審員らの意見が分かれた少ない争点のうちの1つで、
ほかの点については異論なく評議が進み、開始から22時間という驚くべき早さで評決に至ったという。
サイクリング愛好家や技術者、ソーシャルワーカーを含む、
男性7人・女性2人の陪審団はアップルが訴えていた特許侵害のうち1つを除くすべてでサムスンが特許を侵害しているとの評決を出した。
一方、アップル側はサムスンの特許をひとつも侵害していないとした。
陪審団はサムスンがアップルに10億5000万ドル(約827億円)の賠償金を支払うよう要求した。
これは特許侵害訴訟で史上最高の賠償額だ。サムスンは控訴する構えだ。
陪審団は評議の開始当初から、目の前の困難な課題に取り組むための方法を考案した。
課題に集中し、ほかの陪審員が別の話題にそれるのを防いだ、とイラガン氏は話す。
陪審員らは評議内容に関すること以外、ほとんど何も話さなかったという。
陪審団の任務は、38のサムスン製携帯機器がアップルの7件の特許を侵害しているかどうか、
またアップルのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」、
タブレット型端末「iPad(アイパッド)」、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)タッチ」がサムスンの5件の特許を侵害しているかどうかについて、
300項目・20ページに及ぶ評決をまとめることだった。
続きます
>>2-3 http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_501382