【ロンドン=上杉素直】英中央銀行イングランド銀行のキング総裁は8日の記者会見で、
大手銀行による不正操作が見つかったロンドン銀行間取引金利(LIBOR)について抜本的に改革する方針を表明した。
当局が監督を強めて不正再発を防ぎ、基準金利としての信頼回復を目指す。主要国・地域の中銀にも呼びかけて、9月に具体策を協議する。
LIBORは大手銀が自主申告する金利をもとに英国銀行協会が算出する仕組み。
実際に取引されていない金利を申告する大手銀も多く、
キング総裁は今の算出方法は「理にかなっていない」と指摘。
さらに「実際には存在しないものに巨額の取引が連動しているのはおかしい」と語った。
LIBORは国際的な基準金利で、住宅ローンやデリバティブ(金融派生商品)など数百兆ドルの金融取引の指標となっている。
このため、キング総裁は「1つの当局だけで(LIBORの)条件を変えるわけにはいかない」と述べ、
改革には各国中銀の協力が欠かせないと訴えた。9月上旬にスイスで開く中銀総裁会議にあわせて調整を進める考えだ。
LIBORに基づく金融取引や契約を維持しながら、LIBOR改革を進めるのは「難題だ」と強調。
そのうえで英中銀や金融当局が金利申告や算出への監督を強化する改革案にふれた。
LIBOR改革を巡っては、英中銀とは別に英政府が9月末までに改革案をまとめる予定で、10日に論点を示す。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM08070_Y2A800C1MM8000/