AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失問題で、
2009年2月に専門誌が同社の投資詐欺疑惑を示唆する記事を掲載した直後、
傘下の「アイティーエム証券」(同)が、顧客に疑惑を否定する手紙を送っていたことが分かった。
この時期、金融当局は両社を調べていながら不正を見逃しており、
手紙は「当局のお墨付きがある」という自信満々の内容だった。
国の不十分な調査に、今も顧客の憤りは収まらない。
09年2月16日発行の専門誌「年金情報」は、
AIJの名を出さずに「新興ヘッジファンドが、不自然なほど安定したリターンを出し続けている」と誌面で指摘。
反響は大きく、解約の申し出が相次いだため、アイティーエム証券は3月3日付で顧客に手紙を出した。
「金融庁に問い合わせたところ『事実ならとっくに検査に入っている』とのコメントでした。
ご安心いただきたく資料を送ります」という文面で、AIJの資産管理状況をまとめた表などを同封していた。
手紙を受け取ったある厚生年金基金の幹部は「アイティーエムとAIJは一体。
AIJが金融庁のお墨付きを得た、と我々が誤信したのも仕方ない」と憤る。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120527-OYT1T00996.htm