情報サービス各社が東南アジアで事業展開を加速している。
国内のIT市場が頭打ちの中、大きな成長が見込めるアジア市場を取り込めるかに各社の成長がかかっている。
事業展開の足がかりである拠点開設の動きは以前から相次いでいる。2012年はその動きがより一層加速しそうだ。(戸村智幸)
中国や東南アジアに拠点を開設済みの企業が、新たな拠点を設けるケースが相次いでいる。
野村総合研究所は「アジアの成長を取り込むには、現在の海外ネットワークでは十分でない」(嶋本正社長)として、
12年度中に東南アジア数カ国に現地拠点を開設する。
4月にインドネシアのジャカルタに駐在員事務所を開設した。
日本の物流業や流通業のインドネシアへの進出が盛んになっていることから、
日系企業が開設した現地拠点へのシステムコンサルティングの提供を目指す。
ITホールディングス傘下のインテックは3月、タイのバンコクに現地法人を設立した。
現地の日系製造業に、ネットワークを通じて生産管理や販売管理のシステムをクラウドコンピューティング型で提供する。
製造業などの現地拠点にとって、システム構築(SI)型は初期費用などの点でハードルが高い。
3年後に200人体制に増やす。中国には現地法人を持つが、東南アジアでは初の拠点になる。
NTTデータは9月、ミャンマーのヤンゴンに子会社を設立する。
日本からのソフトウエア開発受託を中心としたオフショア開発拠点として活用。
5年後をめどに約500人まで増やす。中国やインドよりコスト競争力が高く、優秀な人材が豊富であることが決め手になった。
今後は現地の国立コンピューター大学と連携し、人材育成を図るとともに、
日系企業のサポートや現地金融機関・官公庁向けにも事業を展開する。
経済改革が進むミャンマーは東南アジアでも今後の成長が特に期待されている。
ミャンマーに拠点を開設する情報サービス会社は珍しいが、順調に運営できれば、後に続く企業が現れるかもしれない。
最近はシンガポールでの拠点開設も相次いでいる。
その1社の新日鉄ソリューションズは年内にタイにも拠点開設を予定している。
12年はシンガポール周辺での拠点開設の増加も予想できる。
各社の狙いは日系企業の現地拠点のIT需要。
本社と拠点間のシステム連携など現地拠点のシステム課題の解決に成長の芽を見いだそうとしている。
ゆくゆくは現地企業の開拓も求められる。現地企業はSI型よりクラウド型の需要が多いと見られ、
提供体制の整備も必要になる。拠点を開設したとはいえ、実際に事業を拡大するのはこれから。
他社に先んじて成長の果実をつかむための競争が始まっている。
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201205290019.html