東証1部に上場する企業の12年3月期決算が、東日本大震災や歴史的な円高などで大幅減益になる見通しとなった。
SMBC日興証券のまとめでは、11日までに決算発表した907社(金融を除き、全体の76.2%)の経常利益は前期比で16.8%減少。
震災被害に伴う特別損失などを加えた最終(当期)利益ベースでは同32.9%の大幅減で、
リーマン・ショック後の09年3月期以来、3年ぶりの減益となった。
一方、13年3月期は業績の「V字回復」を見込んでいる。【浜中慎哉、谷川貴史】
利益の落ち込みが目立ったのは、電機や自動車など輸出関連産業だ。欧州債務危機などを背景に円高が進行し、
輸出採算が悪化したことに加え、震災や昨秋のタイの洪水が生産現場を直撃。
工場の操業停止やサプライチェーン(部品供給網)の混乱を招き、経常利益ベースでは「電機」が57.8%減、
自動車などの「輸送用機器」は21.4%減の大幅マイナスとなった。
原発停止に伴う燃料費の増加などで「電気・ガス」も赤字に転落。
一方、資源、エネルギー価格の上昇で大手商社が大幅増益となり、
商社を含む「卸売り」は20%の増益となった。
13年3月期は電機や自動車などで増益や黒字転換を予想する企業が多く、
全体では経常利益が前期比18.8%、最終利益が同60.5%の増益を見込んでいる。
SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「昨年相次いだ悪材料がなくなれば、
多くの業種で業績が好転する」と予想する一方、「最大のリスク要因は欧州危機」と指摘する。
5月以降、ギリシャの政局不安などを受けて、欧州危機が再燃するとの観測が浮上。
日経平均株価は9000円を割り込んだ。住友化学の野崎邦夫常務執行役員は「欧州危機や米国の景気後退が深刻になると、
中国や東南アジアにも影響が出る」と警戒する。
また、原発停止に伴う今夏の電力不足に対しても、「特に関西と九州でインパクトが大きい」
(日立製作所の中村豊明副社長)と懸念する声が多く、業績の「V字回復」実現に向けた道のりは平たんではなさそうだ。
http://mainichi.jp/select/news/20120515k0000m020152000c.html 東証1部上場企業(金融除く)の業績の推移
http://mainichi.jp/graph/2012/05/15/20120515k0000m020152000c/image/001.jpg