5月8日(ブルームバーグ):野村ホールディングスは米州投資銀行部門の上級管理職の人数をほぼ3倍に拡大する計画だ。
競合他社が事業を縮小しているため、業容拡大の好機と判断した。
同部門責任者のジェームズ・デノート氏がブルームバーグのインタビューで語った。
デノート氏によると、同部門では3−5年以内にマネジングディレクターおよびエグゼクティブディレクターを
現在の38人から100人程度に増やす見通しだ。
同氏(49)は野村が「世界でトップ10に入り、アジアに主軸を置く数少ない金融機関の1つになることを目指す」と指摘、
「良好で質の高い手数料が集まる事業セクターに特化するつもりだ」と述べた。
2009年3月に900人だった野村の米従業員数は今年2350人に増えた。
デノート氏によると、野村は上級幹部を増員し、米州からの投資銀行収入で10億ドル(約800億円)を目指す。
実現した場合、手数料収入で上位10行に入ることになる。
一方、バンク・オブ・アメリカ(BOA)や仏ソシエテ・ジェネラルといった競合企業は
合併・買収(M&A)などの仲介事業やトレーディングの停滞を背景に人員を削減している。
デノート氏は「今後数年間は米投資銀行業務にとっては非常に有利な市場環境になるとみている」と分析。
「業績の良好な企業は合併や部門統合、利益率の改善を検討し始めている。
一方、まだバランスシート問題に苦慮している企業は、資金調達や借り換えに積極的だ」と述べた。
■欧州部門縮小
米州部門は
投資銀行と債券・株式トレーディング事業から成るグローバル・ホールセール部門の1−3月(第4四半期)収益合計(金融費用控除後)のうち
27%に当たる434億円を稼ぎ出し、同社が2009年4月に米国事業構築に着手して以来、
米州ホールセール部門としては最も好調な四半期となった。
米州での拡大計画とは対照的に、欧州では事業縮小を進めている。
欧州部門は経営破綻したリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの事業買収後、
赤字となっており、4月27日の説明資料によると、同社は欧州の人員を昨年9月末以降478人削減、今年3月末時点で4014人とした。
クレディ・スイス証券の山中威人アナリストは、
野村HDが世界の番付で順位を上げたいのなら米国事業の拡大は不可欠だとの見方を示し、
他の金融機関が人員削減を進めているだけに野村HDが優秀なバンカーを採用するのは容易になりつつあると付け加えた。
■ランキング
今年に入ってからの世界のM&Aアドバイザーランキングで野村は第9位。米国企業に絡んだ案件ベースでは21位となっている。
米州株式責任者シアラン・オケリー氏は、野村が域内の調査とセールス、
トレーディングでシェアを伸ばすことができると述べた。
ただ市場シェアの具体的な数値目標はないことも明らかにした。
オケリー氏はインタビューで「当社が強みを持っている分野を選んでいきたい」と述べ、
「野村でのわれわれの尺度は、単なる規模ではなく、顧客と収益性や関連性だ」と指摘した。
http://www.bloomberg.co.jp./news/123-M3PWTL6K50Z401.html 米JPモルガンの多額損失、自ら生んだ金融商品市場に問題
[14日 ロイター] 米金融大手JPモルガン・チェースがヘッジ戦略の失敗で少なくとも20億ドルの損失を
発生させたのは、取引の杜撰さもさることながら、自ら生み出した複雑な金融商品の市場で自分自身があまりにも
大きくなり過ぎたのも原因だ。
JPモルガンのヘッジ戦略には、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の中のシンセティック・クレジット証券と
呼ばれる商品が絡んでいる。同社が作り出したCDSは本来、自前で保有する社債などのリスクをヘッジする目的で利用され
ていた。
しかしデリバティブ専門家などによると、JPモルガンが抱えるポジションは、次の2つの問題によって維持不可能でコスト
もかかるようになってしまったという。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE84E02U20120515