食肉販売のまるひで(大分市、小野秀幸社長)グループは肉用牛の肥育事業を拡大する。
2006年に大分県由布市で和牛肥育に参入したが、12年度から同県竹田市でも始める。
14年度には肥育頭数を現在の約3倍の550頭に増やし、肥育から加工、販売までの一貫経営を拡充。
自社で販売する黒毛和牛の社内生産比率を70%程度へ引き上げ、消費者に「生産者の顔の見える安心・安全な牛肉」を訴える。
現在、乳牛を飼育している観光牧場のガンジー牧場(竹田市)に牛舎1棟を新設しており、
地元から黒毛和種の子牛100頭を買い入れて12年度に肥育を開始。
さらに13年度までに牛舎2棟と飼料庫を建て、合計300頭の肥育設備を整える。
総事業費は約2億6000万円で、日本政策金融公庫からの借り入れのほか、国や県、市からの補助金で賄う。
肥育した牛は「くじゅう高原牛」のブランドで販売する。
現在、由布市内の牧場で約180頭の和牛を肥育、「湯布院牛」のブランドで販売しているが、この牧場での肥育頭数も250頭まで増やす。
まるひでは大分県内で食肉卸のほか、百貨店やスーパーのテナントなど約30店舗で食肉を小売りしており、食肉関係の年商は約60億円。
販売する黒毛和牛の自社生産比率は現在25%程度だが、肥育頭数が550頭まで増えれば70%程度に上昇し、
年間を通じて安定供給ができるとみている。
同社は、県内産の子牛を仕入れ、肥育から加工、販売まで一貫して手掛けることで消費者に「安心・安全な地元の牛肉」をPR。
固定客を増やし、ディスカウントストアなどとの価格競争を回避することを狙っている。
農林漁業者が生産・加工・販売を手掛ける「6次産業化」を農林水産省が推進していることもあり、
畜産分野でも大規模牧場が加工や販売に進出する例が増えている。
ただ、牧場経営は資金負担が大きく、牛肉消費の低迷も続いているため、
食肉販売業者が生産まで進出するのは「事例的に少ない」(九州農政局)という。
まるひでの小野社長は「一貫経営でリスクを吸収していきたい」と話している。
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819891E3E4E2E3948DE3E4E2E1E0E2E3E09E8AE2E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E5E2