うるう年の今年、四国霊場八十八カ所巡りを第88番札所の大窪寺(香川県さぬき市)から
逆にお参りする「逆(ぎゃく)打ち」巡礼が人気を集めている。うるう年の逆打ちは1番
札所の霊山寺(りょうぜんじ)(徳島県鳴門市)から番号順に巡るより御利益が大きいとの
説があるからだ。旅行業界は4年に1度の商機と逆打ちプランを大々的にPRしており、
春のお遍路シーズンを前に讃岐の札所は関西方面などからのツアー客らで早くも混雑している。
讃岐出身の弘法大師空海(774〜835年)の修行の跡をたどるお遍路は、一般的には
1番札所から順に四国を時計回りに巡る順打ちが基本とされる。逆打ちは、お遍路の元祖
とされる伊予の国(愛媛県)の豪農がうるう年に札所を逆に巡り、順打ちをしていた弘法
大師に出会えたとの伝説に由来する。道が険しく難しいことから、順打ちの3倍の御利益が
あるとか、伝説通りに弘法大師に会えるとされている。
阪急交通社(大阪市)は今年、関西発の全12回と全5回の逆打ちバスツアーを開催。
例年より集合場所を増やして募り、ツアー客は前回うるう年の1・5倍、昨年と比べ2倍に
増えた。担当者は「単なる旅行でなく御利益や達成感のある巡礼の旅に魅力を感じてもらって
いる。4年前のリピーターも約4割いる」と話す。
地元の旅行会社「四国巡拝センター」(高松市)の日帰りバス遍路でも1月の第1回目で
最少催行人数の4倍にあたる120人を集めた。JR四国も3月9日と11月14日に
出発する11泊12日の逆打ちツアーを実施する予定だ。
今年2回目のツアーで84番札所の屋島寺(やしまじ)(高松市)を訪れた神戸市中央区の
主婦、竹田裕子さん(50)は「2年前、順打ちで初めて八十八カ所巡りを経験して自信を
取り戻すことができた。今年は御利益が大きいと聞いたので、ぜひ参加したかった」と笑顔
をみせた。年明けから多い日には1日40台の観光バスが乗り付けたツアー出発点の大窪寺は
「旅行会社のPRで逆打ち人気が個人の巡礼者にも広がっているよう。ただ、順番に決まり
はなく、最終的に八十八カ所すべてを巡れば御利益はあるものですよ」と話している。
●逆打ちツアー人気もあり、多くの団体客でにぎわう屋島寺=高松市
http://sankei.jp.msn.com/images/news/120228/wlf12022812030009-p1.jpg ◎
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