ソースはDIAMONDonline
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■故郷の自宅を目の前にホテル住まいをする羽目に
上海の発展のシンボルでもあった高層マンション群、その美しく彩られていた“化粧”が、
静かに剥がれつつある。ついに「安かろう、悪かろう」が露呈し、今、「住めない家」が
続出しているのだ。
こんなことがあった。在日華僑のAさんは、この春節を上海の自宅で過ごそうと帰国したのだが、
彼は自宅に帰れなかった。理由は「壁の水漏れで住めない」というものだった。
Aさんは「故郷に戻ったというのに自宅に戻れない、まるで旅人のようだった」と振り返る。
自分の家を目の前に、ホテル住まいを余儀なくされた。
90年代後半、上海に平米単価5000元で買った60平米の1LDK。
築10年が過ぎた今、住まいのあちこちでトラブルが噴出している。
水の出が悪いシャワー、溢れるキッチンの排水溝、リビングの壁からも水漏れ…。
Aさんは「新しいシステムキッチンに買い換えればマシになるだろう」と思案した。
だが、早い段階でそれがまったく無意味であることが判明した。
問題は設備ではなく、「壁の中」に存在していたためだ。
■企業の社屋から民家まで水漏れが社会問題に
建築物の水漏れは上海のいたる所で社会問題と化している。企業もまた、水漏れに悩まされる。
浦東の高層ビルに入るB社職員は「うちは最上階でもないのになぜか雨漏りだ」と、
天井から水が漏れてくる現状を訴える。
日中の建築事情に詳しい専門家は「日本ならポリウレタンやビニール製が使われる配管も、
中国では2000年代以降も金属製が多く使われた。錆つきなど劣化が早い」とコメントする。
だが、水道管は構造壁の中に埋め込まれ、二次交換ができない。
上海の建築物の多くはこうした欠陥を抱えているのだが、所有者に打つ手はない。
他方、上海に訪れた日本人ビジネスマンが必ず尋ねる、こんな質問がある。
「このマンション、築年数ってどれくらい?」――
外見の劣化の激しさに、つい尋ねてみたくなるのだろう。
「まあ、2年ぐらいでしょう」と回答すると「それホント!?」と驚愕する。
“築浅(ちくあさ)物件”であるにもかかわらず、“築20年ぐらいの中古”に見えてしまうのだ。
前出の専門家は、建築資材の質の低さを指摘する。
「2000年代はバンバン建ててバンバン売る、という現象が上海にも多く見られた。
購入者の動機には『住むため』もあったが、『転売』や『賃貸で運用』も多かった。
また、デベロッパーが売り惜しみする中で、購入者も品質の良し悪しまでは要求できなかった。
建築資材の質の低さには、こうした背景もある」
-続きます-