欧州連合(EU)が、今年初めから主要な航空会社に温室効果ガス排出権取引制度への
参加を義務付けたことに中国が反発、排出権を巡る支払いに一切応じない姿勢を取った
ことからEU・中国間の外交問題に発展している。両者は14日から2日間、中国で
首脳会談を行うが、EUはこの場で、あくまで中国側に支払いを求めて説得する構えだ。
排出権取引制度は企業ごとに温室効果ガスの排出枠を決め、過不足分を市場で取引する制度。
EUは今年、除外されていた航空機にも拡大。欧州以外ではEUに乗り入れる日米中など
62カ国の会社が対象となった。当初、無料で割り当てられる排出権は全体の85%しか
ないため、残り15%の排出権は取引市場で購入する必要がある。追加負担は長距離路線で
乗客1人当たり2ユーロ(約205円)程度と想定される。
中国民用航空局は今月6日、「EUが域外に排出権取引制度を適用するのに反対する。
中国の個人と企業の利益を守る」として各航空会社に運賃値上げの際は中国政府の
許可を得るよう通達し、事実上、支払いを禁じた。
米国からも強い抗議を受けているEUのカラス欧州委員は13日、「(中国と)交渉する
用意はある」と話し合う姿勢は見せたものの、制度のEU域外への適用は変更しないと
述べるなど、圧力に屈しない姿勢を見せている。
EUのバローゾ欧州委員長らは14日からの訪中で温家宝首相などと会談し、排出権取引
問題も話し合われる見通し。
EUは05年から排出権取引制度を導入。世界の主要市場の一つになっている。
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http://mainichi.jp/select/today/news/20120215k0000m030065000c.html