※長文のため抜粋です。全文はソース記事をご覧ください。
先週KDDIが発表したスマートフォン関連の新たな販売、経営戦略の報道にあたり、
読売、朝日、毎日の全国紙各紙がそろって、NTT法(日本電信電話株式会社法)の
規制の存在を根拠にKDDIの対応を高く評価する記事を掲載した。
しかし、この報道には首をかしげざるを得ない。というのは、その大前提となった
「NTT法の規制」が存在しないからだ。
電気通信事業法と並ぶ、通信市場の憲法とでもいうべきNTT法の規制体系について、
事実誤認のミスを犯すような各紙の経済報道は、果たして信頼に値するのだろうか。
問題の発端は、KDDIが1月16日に開催した「au発表会」だ。
就任から13ヵ月が経った田中孝司社長が出席し、auブランドのロゴ刷新や新たな
学生向けの割引料金、新端末の投入、光ファイバー(固定通信)のサービス地域の拡大
など広範な営業、販売戦略の見直しを打ち出した記者会見で、KDDIのホームページに
掲載されたこの日のニュースリリースは実に14本に及んでいる。
これに対して、各紙の報道は、指定の固定ブロードバンドサービスとセットで契約すれば、
スマートフォンのデータ通信料金が2年間にわたってこれまでより3割安の月額3980円に
なる「auスマートバリュー」の記事一色に染まった。
しかし、各紙の報道が、ありもしない法規制を根拠にして、KDDIの優位性をいたずらに
強調した感があるのはいただけない。ここで、個別の記事を紹介しておくと、
「固定回線と携帯回線のセット割引は、NTT法の規制でNTTグループは原則できない。
固定とセットで顧客を囲い込む戦略だ」(朝日新聞16日付夕刊)、
「KDDIが打ち出した固定回線と携帯回線のセット割引は、NTT法などの規制でNTT
グループは原則できない」(朝日新聞17日付朝刊)
「固定回線とのセット割引はNTTドコモはNTT法で禁じられており、ソフトバンクも
導入していない」(毎日新聞17日付朝刊)
「NTTグループはNTT法の規制で、ドコモが固定通信のNTT東日本や西日本と連携した
割引サービスを打ち出せない」(読売新聞17日付朝刊)
と判で押したように、NTT法にNTTグループのセット販売を禁じる規制が存在するかの
ように記述している。
ところが、総務省のNTT法を所管する部署では「そんな規制は存在しない。取材を
受ければ説明する用意はあるが、今回、各紙から問い合わせは1件もなかった」と呆れている。
そもそもNTT法は、1985年の通信自由化に際して、国営独占企業だったNTTを民営化
するために制定された法律だ。しかし、その歴史的な使命は、縮小の一途を辿っている。
さらに言えば、現行NTT法は、持ち株会社のNTTと地域通信のNTT東西会社の設立根拠法で、
3社の組織。出資形態、役員の選出方法などを細かく規定しているものの、特定のサービスを
禁じるような規定は存在しない。
もっとはっきり言えば、ドコモは、同法の規制の対象にすらなっていない。
明らかに、朝日、毎日、読売は、法律の予備知識がなく、確認も怠り、釈明の余地のない
誤報をしたとしか考えられない。
◎現代ビジネス/町田徹「ニュースの深層」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31633 ◎関連スレ 【モバイル】攻めるau、ギャラクシー発売へ 固定・携帯のセット割引も導入[12/01/12]
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1326516177/