宇宙航空研究開発機構と三菱重工業は12日午前10時21分、
政府の情報収集衛星レーダー3号機を載せたH2Aロケット20号機を、
鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。
H2Aは14回連続成功で、これまでの20回の打ち上げのうち失敗はわずか1回。
宇宙機構などが目標とする国際標準の成功率95%を達成した。
政府や三菱重工は衛星の商用ビジネスに本格参入したい考えだが、
欧州とロシアのライバル企業が世界の商用市場を独占しており、しばらくは“官需頼み”が
続きそうだ。
打ち上げ後に記者会見した同機構の樋口清司副理事長は
「やっと20号機まできた。ほっとしている」と述べた。
今後について「技術は陳腐化する。次の世代のロケットを計画したい」と新機種開発への
意欲を見せた。
内閣衛星情報センターによると、3号機の開発費は約398億円。
打ち上げ費は約103億円。
レーダー1、2号機は、故障などで昨年夏までに運用を停止。
現在は9月に打ち上げに成功した光学4号機を含んだ光学衛星4基が稼働中。
同センターは、2012年度中にレーダー4号機を打ち上げる計画で、少なくとも
光学、レーダー各2基をそろえた運用体制を目指す。
三菱重工などは、海外を含めた民間からの受注を目指すが、見通しは厳しい。
同機構によると、次号機は初の商用打ち上げとなる韓国の多目的観測衛星の搭載が
決まっているが、現時点で商用契約はこの1基だけだ。
同社の宇宙関連事業の売上高は現在300億円超で、会社全体の1%程度。
衛星ロケット関連は年間3〜4機、累計で20機を超えたにすぎない。
これに対し、ライバルの露軍事企業のクルニチェフやEU(欧州連合)の
アリアンスペースは、これまでに数百機を受注した実績と経験をテコに、
世界の商用市場で受注を伸ばす。
三菱重工は「H2AやH2B向けの実績を重ね、商用市場に切り込みたい」と巻き返しを
誓うが、超円高によりライバルとはコスト面で3〜4割負けている。
国産ロケットの売り込みには、技術力を一段と引き上げ、付加価値を提案することが
不可欠だ。
ソースは
http://www.sankeibiz.jp/business/news/111213/bsc1112130752006-n1.htm 政府の情報収集衛星レーダー3号機を搭載したH2Aロケット20号機=12日午前10時21分、鹿児島県・種子島宇宙センター
http://www.sankeibiz.jp/images/news/111213/bsc1112130752006-p1.jpg