積極的な中国進出を展開している米ヒルトン・ワールドワイドや米ハイアット・ホテルズなど
大手ホテルチェーンだが、乱立状態による客室供給過剰の問題に直面しそうだ。
10部屋に4部屋が空室という状態が続く可能性がある。
調査会社STRグローバルによると、中国の1〜9月期の客室稼働率は前年同期比61%と、
同社が調査した15カ国のうちインドに次いでアジアで2番目に低かった。
上海では50%程度で、シンガポールや香港の80%超の稼働率を大きく下回った。
国連の世界観光機関(UNWTO)のデータによると、中国は昨年、外国人観光客の国別訪問者数で
スペインを抜き、フランスと米国に続く世界3位に躍進。
ホテル投資サービス会社、ジョーンズ・ラング・ラサール・ホテルズによれば、
国内旅行者は2015年までに延べ33億人に達するとみられている。
同社による中国30都市の調査では、世界的に有名なブランドホテルの客室数は13年までに
52%増加する見通し。
ヒルトンは、中国で運営するホテル数を14年までに現行の4倍の100軒にする計画。
ホテルチェーン「ホリデイ・イン」を傘下に持つ英インターコンチネンタル・ホテルズ・
グループ(IHG)は、今後5年間に世界で新設するホテル客室の4分の1が中国となると発表している。
ホーワス・アジア・パシフィックのディレクター、ナイジェル・サマーズ氏(香港在勤)は
「中国の一部の市場のホテルは今後3〜5年、明らかに供給過剰で高収益は生まないだろう。
小規模な市政府がいずれも、町おこしに五つ星ホテル誘致を望んでいる」と指摘した。
STRグローバルによると、温家宝首相の故郷で北京に近い人口980万人の港湾都市、天津市には
「ハイアットリージェンシー」、スターウッド・ホテル・アンド・リゾート・ワールドワイドの
「セントレジス」、IHGの「クラウンプラザ」などが軒を並べているが、平均客室稼働率45%。
にもかかわらず、市内ではさらにホテル建設が進められており、今後3年で客室数を倍増するという。
一方、手頃な費用のビジネスホテルは好調な客室稼働率をみせている。
中国最大の低価格ホテル運営会社、ホーム・インズ・アンド・ホテルズ・マネジメントの
7〜9月期の稼働率は94%(1004軒)、
同2位のセブンデイズ・グループ・ホールディングスは85.5%(838軒)だった。
上海市内中心部の静安区にあるホーム・インズのホテルの客室料金は1泊220元(約2700円)、
車で7分の距離にあるヒルトンのホテルは7倍以上の1590元だった。
(ブルームバーグ Bonnie Cao)
ソースは
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111122/mcb1111220505030-n1.htm http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111122/mcb1111220505030-n2.htm