先日、フランスでユニークな法律が成立した。「テレビCMの音量を番組本編と同じにせよという法律。
違反した企業には売り上げの三%相当の罰金が科せられます」(CM製作会社関係者)。たしかに、
CMになると急に音が大きくなるような気がする。「私の調査でも、日本でも六二%の人が『CMの音は
本編より大きく聞こえる』と答えています。アメリカやイギリスでも同様で、たとえばアメリカでは
放送に対する苦情トップの常連。両国でも類似の法律が成立しました」(情報メディアに詳しい同志社
女子大学・中島純一教授)
日本での対策はどうか。(社)全日本シーエム放送連盟に聞いた。「年に一、二回調査を行ない、
ほとんどのCMが規定の音量を守っていることを確認しています。また、規定を超えているCMに対しては
会報で報告するなどしています」
それなのにうるさく感じるのはなぜか。「テレビCMの音にはコンプレッションサウンドという圧縮技術が
使われていることが多いのです。簡単に言うと、大きい音はそのままにし、小さい音を大きくしてCMに
詰め込んでしまう技術。すると最大音量は同じでも、大きく聞こえるんです。フランスではこの技術の
使用も禁止されました」(前出・CM製作会社関係者)
日本でもなんとかならないものか。「今まで番組やCMの音量はボリュームメーターで計測していましたが、
今後はラウドネスという単位で計測されることになります。実際に聞こえる音の大きさを反映しやすい
単位なので、うるさいと感じることもなくなるはず」([社]日本民間放送連盟)
一方でこんな意見もある。「CMはドラマや映画の途中で強引に割り込んでくる。つまり、視聴者にとっては
興味がない存在だからうるさく感じるんです。工事の騒音同様、邪魔な音は実際より大きく聞こえがち
ですから、技術的に手を加えても、やはりうるさいと感じるでしょう」(前出・中島教授)
どうしてもうるさいと感じる人は、番組を録画して、CMを飛ばして見るしか解決策はないのかも……。(岡崎博之)
週刊文春
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