(2011年9月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏がいくら高額所得者への増税を訴えても、共和党は決死の覚悟で抵抗する。
オバマ米大統領にとって増税はいずれにせよ大きな賭けだ。
経済再生に向けた景気・雇用対策に続き、19日に打ち出された財政赤字の追加削減案では、
富裕層への増税が新たな目玉となっている。
共和党は階級闘争と呼ぶが、誇張された表現だ。
そうした批判はブッシュ前大統領時代の多くの財政上の決定に向けられるべきだ。
しかし、この提案が理にかなった政策ではなく、むしろ政治的色彩が強いという共和党の主張は正しい。
個々の具体策は体裁を取り繕ったにすぎず、中期的な財政計画の一環であることを除いてほとんど意味をなさず、
語るべき経済的な利点は見当たらない。
このような案が効果を生むためには、支出の抑制や他の増税策と組み合わせる必要がある。
改革の機が熟した連邦税制も抜本的に見直す必要がある。
より合理的な税制を導入すれば、低税率であっても税収を増やすことができる。
これは言うまでもなく、ボウルズ、シンプソン両氏が共同委員長を務めた超党派の
「財政責任・改革委員会」が昨年提案した内容だ。
オバマ氏はこの原則を掲げて戦うこともできたはずだ。
そうしなかったのだから、債務上限問題を巡る攻防に続き、より険しい山道を登らねばならない。
今秋行われる財政赤字削減を巡る超党派協議を、オバマ氏の案がいかに乗り越えるのかを予測するのは難しい。
しかし、遅かれ早かれ何らかの赤字削減策をまとめねばならない。富裕層への増税も検討すべき案の一つではある。
善意の税控除や意図せぬ税の抜け穴、
賃金より投資所得への課税を低く抑えるなどの措置では一部の超富裕層は税負担が減り、
中間層への負担は増してしまう。
これは米政府の歳入基盤の持続可能性を経済的にも政治的にも脅かすだろう。
富裕層への増税によって比較的所得が高い人々の税制のひずみが解消されるならば、それに越したことはない。
しかし、最上層部の税金をいじること自体は、財政の見通しに大きく影響しない。
富裕層の収入を合計しても米国全体の生産活動に比べれば小さく、政治的手法としても望ましくない。
民主党は庶民の擁護者として信頼性を欠いている。
有権者は望ましい富の再配分を主張する政治家よりも、
国家の直面する課題に責任ある態度で取り組むことを求めている。
もしオバマ氏が富裕層の増税が一般有権者を苦しみから救う方法だと説くならば、
経済的にも政治的にも失敗を免れないだろう。
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E1918DE0E2E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2 >>1 >有権者は望ましい富の再配分を主張する政治家よりも、
>国家の直面する課題に責任ある態度で取り組むことを求めている。
要するに貧民に撒くより、戦争してぶんどってこいってことだな