【流通】「日本の企業であることはあきらめた」「40歳以上の日本人男性はいらない」--イオン人事担当者の本音とドジョウの進む道 [09/08]

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1ライトスタッフ◎φ ★
「40代以上の日本人男性社員はもういらないんですよ」

新幹線の車内で話を聞いたイオンの人事担当者ははっきりとこう言い切った。ここ最近の
取材で聞いた言葉の中でも、強く印象に残ったものの1つだ。

日本企業各社が外国人の採用を増やし、新興国を中心に海外シフトを強めているのは、
日頃の取材や報道を通じて分かっていた。それでも、内需型産業の典型でもある流通業の
人間から、しかも取材の中でこのような率直な言葉が出てきたことに驚いた。

全国に100以上の大型ショッピングセンターを作り、規模を拡大してきたイオンは昨年秋に
発表した経営計画で戦略を大きく転換した。他の多くの企業と同様に、海外により多くの
経営資源を投じて成長を目指す方針を打ち出したのだ。

これまでも同社は中国やマレーシアなどでスーパーやショッピングセンターを運営して
きたが、経営の基盤はあくまでも国内にあった。岡田元也社長は米国への留学経験もあり、
社長就任当初からグローバル企業への変身を訴えてきた。しかし、その掛け声とは裏腹に、
イオンは内需中心の事業構造であり続けた。様々な課題はあっても、国内中心で十分に
成長できる余裕がまだあった。

■世界各地で人材採用を始めたイオン

だが、ここへきていよいよ海外展開に本腰を入れ始めた。背景には、2007年に施行された
改正まちづくり3法によってイオンが得意としてきた郊外型の大型ショッピングセンターが
作りにくくなってきたこともある。なにより、人口減と過疎化の影響がはっきりと現れ始め、
国内での成長シナリオが描きにくくなった。

イオンが今年から3年間で海外に投資する額は過去3年間の3倍弱になる計画だ。日本のほか
中国と東南アジアにそれぞれ、地域を統括する本社機能を置く「3本社制」を敷く段取りも
今年に入って進めている。イオンの連結売上高は現在約5兆円。これをアジアでの出店加速
などによって、2020年には10兆円台の後半に持っていこうとしている。これは売上高が
約30兆円超の米ウォルマート・ストアーズには及ばないものの、英国のテスコなどを上回る
規模で、文字通りグローバル企業の仲間入りをしようという壮大な構想だ。

海外での事業拡大計画に伴って、人材採用の面でも大きな変化が出てきた。現在のイオンの
従業員数は全世界でざっと30万人。仮に2020年の構想を実現するとなると、100万人規模の
従業員が必要になるという。増える人員の多くは当然、日本以外の国で働くことになる。

そのため、イオンは今年から海外での採用活動を本格的にスタートさせた。この秋から
中国の北京や上海、香港のほかマレーシアやベトナム、米国の西海岸でも採用活動をする。
夏にはロンドンでクレジットカードなど金融事業に関わる人材を募集したところ、想定を
上回る応募があった。

外国人の従業員が増えるのに合わせて、人事制度にも手を入れる。報酬や福利厚生、
研修などを順次、変えていく考えだという。

冒頭の発言はこのような人材採用や人事制度の改革について話をうかがっていた時に
出てきたものだ。他の多くの日本企業と同様に、イオンの正社員は日本人男性が大半を
占める。経営陣に外国人や女性もいるものの、やはり多くは日本人男性である。しかし、
この人事担当者は言う。(※続く)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20110905/222477/?bv_ru