【コンプライアンス】本格的な対応が要求される「反社会的勢力」の「共生者」リスク [08/24]

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1ライトスタッフ◎φ ★
25,26日と、某金融機関にて講演をさせていただきますが、そのテーマのひとつが
反社会的勢力リスク〜あなたの会社も「共生者」?〜、ということであります。昨夜の
島田紳助さんの突然の引退会見には驚きましたが、反社会的勢力との親密交際・・・
ということであれば、「なるほど」と思ってしまいます。企業社会ではまだまだ反社
リスクへの対応が進んでいないのが現状でありますが、時代はすでに変わりつつあり、
上場会社や中小企業にとっても高いコンプライアンスリスクの時代になってきたのであります。

ご承知の方も多いとは思いますが、この4月1日より、大阪府をはじめ全国各地で暴力団
排除条例が施行され、いよいよ東京都もこの10月1日より施行となります(東京都暴力団
排除条例)。今回の暴排条例のスローガンは、これまでの「暴力団をおそれない、金を
出さない、利用しない」に加えて、「暴力団と交際しない」が含まれることとなりました。
たとえば東京都条例では、契約締結や不動産の賃貸、譲渡に関する企業の法的義務も課される
ようになりました(努力義務ではありますが)。また7月末にはアメリカのオバマ大統領が、
国際的犯罪組織に金融制裁を加える大統領令において、日本の反社会的勢力を対象とする
ことに署名しております。もし反社会的勢力との取引等が発覚すれば、「共生者」として
銀行や証券取引が困難となるリスクも高まっております。実際に、すでに会社の役員さんが
社内調査の結果、辞任に追い込まれているケースも出ております。

まだ事実関係は存じ上げませんが、昨夜の島田さんの件も、少し前の日本相撲協会の
パターンに近いのではないでしょうか。力士の賭博問題で出てきた証拠から、警視庁が
相撲協会に対して「携帯見たら、八百長やっとるみたいやけど、これってややこしいところ
とつながってしまう原因になるからご注意いただきたいのですが、どうしますか?自力で
解決できますか?」とのこと。警察の介入によって捜査をされたら(いろいろと出てきて)
壊滅状態になるので、必死で相撲協会の自浄作用をもって八百長事件に取り組んだ。今回の
島田さんの件も、(私の推測にすぎませんが)警察関係者のほうから、「島田さん、ちょっと
交際がありますね?どうしますか?会社のほうできちんと対処しますか?対処しないなら、
今後なにかあったらほかの人も含めてこっちでやりますけど」といった流れで、会社は必死で
島田さんと対応を検討したのではないかと。引退、というけじめをつけたことで、会社側も
「自浄作用」を示すことになり、これで一件落着になったのではないでしょうか。

(追記:読売新聞ニュースを読むと、なんか上で述べたことが当たっているような感じですね。
朝日の報道では外部の第三者情報をもとに社内調査が行われた、とありますのが・・・)

※続く

●引退会見で悔しげな表情を浮かべる島田紳助さん
http://image.news.livedoor.com/newsimage/3/4/34d450af5f7a96c6ca4ef391189db0a0.JPG

http://news.livedoor.com/article/detail/5806207/
2ライトスタッフ◎φ ★:2011/08/24(水) 18:46:39.81 ID:???
>>1の続き

これもまたご承知のとおり、最近は企業間取引の契約書に「暴排条項」が含まれております。
「おたくの会社はフロント企業ですね?」などと失礼なことを言えないので、どういった
ときに契約を解除できるかは、属性要件と行為要件の総合的判断となります。したがって、
相手が暴力団とは認められなくても「共生者」の疑いがあれば取引停止・・・という事態も
考えられます。社員や役員がそういった方々と交際していた(もしくはしている)ことが
発覚した場合、もしくは下請会社や子会社が親密な関係にある場合、取引を一方的に解除されて
しまうことになります。「共生者」と思われたらたいへんなわけですから、なにか黒い噂が
立った場合には、きちんと社内調査、社内処分をして「うちは反社会的勢力とは何の関係も
ありません。排除する仕組みもあります」ということをパフォーマンスとして世の中に示す
必要があるわけです。

おそらく島田さんのケースでも、少し前ならば謝罪をして、しばらくの間、謹慎していれば
よかったのではないでしょうか。つまり交際をした個人の問題だったのであります。
また、企業としても「平時の内部統制システム」の問題だったのであります。しかし反社会的
勢力との癒着問題に関する企業のリスクが高まり、時代も変わりました。もちろん内部統制
システムの構築も重要ですが、問題が発覚した際に、企業自身が、どう「けじめをつける」か、
どう自浄作用を発揮するか、つまり企業の危機管理(クライシスマネジメント)が問題となる
時代になったと思われます。

◎執筆者/山口利昭(山口利昭 法律事務所代表弁護士)