「善のハッキング」という言葉は矛盾しているように聞こえるかもしれない。
メディアが今年の夏が「ハッカーの夏」になりそうだと警告しているだけになおさらだ。
そんな中、「ランダム・ハックス・オブ・カインドネス(RHK)」という組織が、伝統的な「ハッキング」の定義と、善、
つまりもっと良いことのためにプログラミングを行うという考え方を合体させようとしている。
ハッキングには、1960年代のマサチューセッツ工科大学(MIT)によるもともとの定義、
すなわちコンピューター技術の優れた腕前という意味があった。それを採用しようというのだ。
今月シリコンバレーで開かれたRHKのイベントでは、ホテル、オフィス、それに学校にハッカーらが参集し、
人道問題解決のためのアプリケーションを製作する「ハッカソン(ハックとマラソンをくっつけた造語)」に参加した。
参加者は米ペンシルベニア州フィラデルフィアからインドネシア・ジャカルタにいたる各都市の出身者だ。
イベントで最も注目を集めたアプリの1つは「SMSパーソン・ファインダー」だ。
これは被災地からテキストメッセージを受け取り、
グーグルの「パーソンファインダー(消息情報)」と情報を共有するために作られたアプリだ。
グーグルのパーソンファインダーは最近ハイチ、ニュージーランド、それに日本で災害時に消息情報を追跡するのに使用された。
グーグルの危機管理チームのプロダクトマネジャー、ライアン・ファラー氏は、
テキストメッセージのパーソンファインダーへの統合は難しいと述べ、
「この問題を完全に解決した人はいないので、どんな方法にも関心がある」と語った。
SMSパーソン・ファインダーは未完成で作業中だ。ファラー氏によると、
グーグルはハッカーチームと連絡を取り続けており、「将来協力する方法について検討している」という。
ハッカソンの参加者で、SMSパーソン・ファインダーの開発者でもあるケビン・コンレー氏は、
再び災害が発生したときは、アプリの能力を試すという目的で、グーグルのパーソンファインダーと並行して、
SMSパーソン・ファインダーを別個に提供する計画があると述べている。
コンレー氏がこの考えを思いついたのは、
グーグルの誰かがパーソンファインダーについてプレゼンテーションを行っているのを見たときだった。
同氏は「災害に見舞われたとき、生存者や被災者はインターネットにはアクセスできないかもしれないが、
テキストメッセージを送れる携帯電話を持っているかもしれないと思った」と述べた。
コンレー氏はハッカー仲間にこの考えをぶつけた。最終的には15人が彼に加わって、
SMSパーソン・ファインダーを製作した。
イベントを通じて製作されたアプリの全てが災害援助に関するものではない。
ほかに注目を集めたものには「フードムーバー(FoodMovr)」という生活困窮者の飢えの問題に対処するアプリがある。
このアプリでは、グーグルの社員食堂などの組織で食料が余っている際に、それを知らせることができる。
フードバンク(生活困窮者などに食料を提供する団体)や個人は、
アプリの地図を使って食料の無償提供場所を探すことができる。
コンレー氏は、「大金を稼ぐためでなく、人を助けるためにアプリを開発する」ことにやりがいを感じている。
同氏はペンシルベニア大学で電子工学を専攻し、
現在アプリ開発会社バンプ・テクノロジーズでインターンとして働いている。
http://jp.wsj.com/IT/node_256757 でも凄腕なのは確か...