みずほフィナンシャルグループの佐藤康博新社長は22日、都内で記者会見し、
グループ再編の軸となるみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の統合作業を前倒しする考えを示した。
合併の時期は「2〜3年後」と従来通りだが、先行して来春までに営業や市場運用などの個別組織を一本化する。
最終的にはグループの信託銀行、証券子会社も含めて再編し、
「収益拡大、コスト削減、サービス向上を同時に実現したい」と強調した。
佐藤新社長は21日に開いた株主総会後の取締役会で正式に就任した。
第一勧業、富士、日本興業の旧3行出身者が合議で決める「3トップ体制」と決別し、
佐藤新社長がグループ最高経営責任者(CEO)になった。
佐藤氏は「権限と責任が自分に集中する体制となり、意思決定を速めることができる」と強調した。
3月に起きたシステム障害の一因として「グループ統治に問題があった」と認め、
「スピードをあげるためワンバンクを決断した」と説明した。
みずほ銀とコーポ銀に分かれる「2バンク体制」は「経費が余分にかかり、利益も予想よりあがらなかった」という。
今後の経営改善策として中核2銀行の統合作業の前倒しを掲げた。
塚本隆史前社長が5月に挙げた経営企画や管理部門の組織の早期一本化に加え、
今回、佐藤氏は「顧客部門や運用など市場部門も来年4月までに統合する」と踏み込んだ。
2銀行で重複する企業への営業部隊も集約し「早くワンバンク化したようにみせたい」という。
具体的な戦略を練るチームは7月に立ち上げる。
グループ再編は中核2行にとどまらず、
みずほ信託銀行、証券・投資顧問会社も対象にする考えを示した。
今年度内に再編図を固め「経費の削減効果なども示したい」と述べた。
金融当局と調整がつけば、信託銀と中核2行との合併も視野に入れ、
グループ内に分散するM&A(合併・買収)助言や不動産融資などの業務もどこに集約すれば効率的かを検討する。
最大の課題は人事改革となる。旧3行で均等配分してきた持ち株会社、
中核2行の取締役・執行役員ポストについて、佐藤新社長は「外部評価を入れた仕組みをつくりたい」と言及。
人事担当役員も傘下2行に置かず、持ち株会社でグループ全体を決めるようにする。
ただ、内部の反発を抑え、旧行の枠を超えた人事を実行するのは難航する可能性もある。
みずほは今年3月期の経費率が54%と三菱UFJ、
三井住友両フィナンシャルグループの45〜50%と比べ高い。
国内の景気低迷に加え、自己資本比率規制の強化など経営環境は厳しさを増す。
グループ全体で旧行の壁を越えた改革ができるか。新CEOの指導力が問われる。
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