[東京 12日 ロイター] ニコンは12日、2012年3月期の連結業績について、
売上高が前年比5.9%増の9400億円、営業利益が同25.8%増の680億円になる
との見通しを発表した。
東日本大震災による部材不足で生産に制約を受けるが、中小型液晶用露光装置の増加で
増収増益を見込む。
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、震災発生後に予想を修正した主要アナリスト
7人の営業利益の予測平均値は796億円で、会社側予想はこれを下回った。
為替の年間想定は、1ドル80円(前年86円)、1ユーロは115円(同113円)とした。
当期純利益は同53.8%増の420億円の予想。
震災直後に宮城、栃木、茨城にある1事業所・7製造会社が操業を停止したが
3月中に順次生産を再開し、現時点で生産能力は震災前の状態に回復した。
ただ、記者会見した寺東一郎副社長は「能力は回復したが(デジタルカメラ・露光装置とも)
部材が不足しているので生産に制約を受ける。サプライチェーンが秋以降に正常化する前提で
予想を出した」と話した。
震災の影響は、売上高に1200億円、営業利益に300億円ほどのマイナスを織り込んだ。
<露光装置、部材不足で来期にずれ込む分も>
今期の露光装置事業の営業利益は310億円(前年同期は27億円)と大幅増益を見込む。
液晶用露光装置の販売台数計画は82台(同57台)で大幅増を見込む。
このうち第4世代(4G)以下の中小型液晶用は34台(同11台)と大きく伸びる。
半導体用(新品)は60台(同57台)を計画。ただ、「部材不足で、今期に見込んでいた
台数のうち数台は来期にずれ込む」(寺東副社長)という。
一方で、デジタルカメラを手掛ける映像事業の営業利益は530億円(同523億円)。
見かけ上は増益だが、今期から各事業に配分していた「全社費用」を一括計上することに
変更したため「実質は減益」(同)だという。
デジカメの販売計画は、一眼レフが前期の429万台販売に対して「微増」、
コンパクトが同1426万台に対して「前期並み」とした。
円高進行や部材不足で生産に制約を受けると見込んでいるため具体的な数値の開示は控えた。
<前期は黒字転換、液晶用露光装置が5台期ずれ>
11年3月期の連結業績は、売上高が同13.0%増の8875億円、
営業損益は、前期の138億円の赤字から540億円の黒字に転換した。
トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト6人の営業利益の予測平均値468億円を
上回った。円高が進行したが、デジカメ販売が好調だった。さらに前期に廃棄損で赤字を計上した
露光装置事業が黒字転換したほか、インストルメンツ事業の赤字が縮小したことも寄与した。
1―3月期にインスト事業は12四半期ぶりに黒字転換した。
前期の液晶露光装置の計画は62台だったが、実績が57台にとどまったのは
「震災による(生産停止などで)5台ほどが今期にずれ込んだ」(寺東副社長)ためという。
震災の影響は売上高に80億円、営業利益に30億円のマイナス。さらに震災関連で23億円の
特別損失を計上した。当期純損益は273億円の黒字(同126億円の赤字)に転換した。
ソースは
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-21067220110512