繊維大手5社の2011年3月期連結決算が10日、出そろい、全社で営業利益が
増益となった。中国や東南アジアなど新興国での自動車や家電の販売拡大が背景だ。
素材となる繊維や樹脂の販売が増え、円高や原料高のマイナス要因も吸収、利益を
押し上げた。
帝人のポリエステル繊維事業は、自動車内装材向けの販売増などで9年ぶりに
黒字に転換した。クラレはアジアや欧州を中心に液晶テレビ向けフィルムが好調で、
営業利益は過去最高となった。東洋紡は、中国の需要が牽引(けんいん)し、
電子部品向けの樹脂が伸びた。
最大手の東レは、炭素繊維事業が航空機向けなどの回復で黒字に転換。ユニチカは
食品用包装材が伸びた。
一方、東日本大震災による設備の損傷などで、東レが19億円、帝人が29億円、
クラレが10億円の特別損失を計上した。ただ純利益は全社で黒字を確保した。
12年3月期の業績見通しは震災の影響が見えないとして、帝人が公表を見送った。
公表した4社中3社が増収を見込むが、エアバッグ向け繊維など自動車用途の取り
扱いも多く、日本の自動車メーカーの生産落ち込みが不安材料だ。東洋紡の坂元龍三
社長は「自動車用は前年の8割程度にとどまりそう」とみる。
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