東日本大震災の影響で操業停止に追い込まれ、供給不足が懸念されていた半導体向け材料が、
生産再開に向けて動き出した。
三菱ガス化学は19日、6月下旬から半導体の洗浄薬品の原料となる過酸化水素をつくる
鹿島工場(茨城県神栖市)を通常操業に戻すと発表。
シリコンウエハーも再稼働の方針が相次いでいる。
ただ、頻発する余震などの影響もあって、全面再開するにはまだ時間がかかるとの見方も多く、
しばらくは予断を許さない状況が続きそうだ。
三菱ガス化学は、過酸化水素の原材料の水素や、電力や蒸気の調達に一定のめどがついたとして、
4月下旬から鹿島工場で部分的に操業を再開。「6月下旬から通常どおりの生産を目指す」
との見通しを示した。
鹿島工場は、超高純度にする前の過酸化水素などで国内最大の
年間10万4000トンの能力を持ち、再開の時期が注目されていた。
シリコンウエハーでは、世界生産能力の2割程度を占めるとされる信越化学工業の子会社、
信越半導体白河工場(福島県西郷村)が今月末までに一部設備を再稼働させる方針。
SUMCOはひと足先に、シリコンウエハーの半製品を手がける米沢工場(山形県米沢市)で
11日に一部設備の操業を再開した。
米MEMCエレクトロニック・マテリアルズは宇都宮工場(宇都宮市)を、5月半ばに
全面復旧させる見込み。ただ、信越半導体とSUMCOは本格再開の時期を未定としている。
信越半導体の親会社の信越化学は「製造工程が長く、すべてが復旧しないと本格再開には至らない」
と強調。度重なる余震で復旧作業に支障が生じていることも影を落としている。
半導体パッケージ基板材料では、約6割の世界シェアがある三菱ガス化学の子会社、
エレクトロテクノ(福島県西郷村)は5月上旬には震災前の需要に応えられるだけの生産能力に
戻れるという。
半導体向け材料の見通しについて、IHSアイサプライ・ジャパンの南川明副社長は
「全面再開にはまだ時間がかかるだろう。シリコンウエハーは震災前の水準に戻るのは
8〜9月ごろになる」とみる。
半導体向け材料の供給ストップは、ハイテク機器や自動車など半導体を組み込むすべての機器に
影響を及ぼし、経済全体を減速させかねない。
南川副社長は「メーカーは稼働状況を情報開示する頻度を従来以上に高める必要がある」と指摘している。
ソースは
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110420/bsj1104200501000-n1.htm http://www.sankeibiz.jp/business/news/110420/bsj1104200501000-n2.htm