【不動産】都心「ベイエリア」の不動産人気に"陰り"--液状化現象でインフラ寸断も [04/14]

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1ライトスタッフ◎φ ★
東日本大震災を受け、東京湾を臨む景観や都心アクセスの良さで高まっていた
湾岸地域の不動産物件の人気に陰りが出てきている。液状化現象による下水道など
インフラの寸断や、売り物としてきた高層階での大きな揺れが居住者の不安を
招いているからだ。

埋立地が市全体の4分の3を占める千葉県浦安市は、大震災による液状化で、水や
ガス、道路などのライフラインが断ち切られた。同市は被害総額が約743億円に上る
と発表。応急復旧作業を進めているが、一部地域ではいまだ下水道が使えず、10日の
統一地方選での同市議会議員選は投票ができない事態に陥った。

クレディ・スイス証券の望月政広アナリストは、「ベイエリアは液状化現象でイン
フラが止まってしまったため、土地の価格はこれから10%くらい下がる可能性がある」
と予想する。すでに分譲マンションの契約キャンセルも出始めており、野村不動産の
石川陽一郎広報部長は、千葉県の新浦安と検見川浜で購入取り止めがあったと明かす。

三井不動産は新浦安エリアで7物件、2515戸のマンションを分譲済みだ。
広報グループの山川秀明氏によると、これらのマンションでは建物への大きな被害は
ないが、液状化で敷地外のインフラが損傷。ガス・電気・上下水道のすべてが停止
したところもあるという。

大震災は好調が続いていたマンション市場を直撃した。東日本不動産流通機構の調査
によると、3月の首都圏中古マンションの販売件数は前年同月比19%減の2495戸で、
浦安市を含む千葉県は3割超の減少となった。不動産経済研究所の福田秋生部長は
2011年の首都圏の新築マンション発売戸数は当初予想の5万戸を下回る公算がある
とみる。

■タワーマンション

一方、地震の揺れからの影響は戸建てや低層マンションより超高層のタワーマン
ションに顕著だ。不動産鑑定会社の三友システムアプレイザル(東京都千代田区)の
井上明義社長は、現在住んでいる人にも揺れの恐怖から「売りたいという人がいると
思う」と述べ、超高層マンションの新築需要は今後落ち込む可能性があると指摘する。

気象庁などによると、規模の大きな地震が発生した場合、震源から離れた遠方で
大きな揺れが長時間続く可能性がある。みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナ
リストは、超高層建造物で感じる揺れは実際の震度のプラス1になるという。
強く長い地震は液状化の原因となる一方、マンションへの影響も大きい。

超高層マンションでは、エレベーターに関する不安の声もあるいという。大半の
エレベーターが震度5程度の揺れを感知して緊急停止し扉が開く機能を備えるが、
降りた後は自らの足で非難するしかない。三友システムの海藤美好理事は、
「地震で被害を受けた湾岸地域ではマンションを半値でも売りたいという声を聞く」
と話す。

国土交通省が発表した11年公示地価(1月1日現在)によれば、浦安市の住宅地
地価は前年比1.1%プラスと前年の10.3%下落から上昇に転じたばかりだった。
クレディ・スイスの望月氏は「ベイエリアのマンション発売は3−6カ月ほど様子見
になるだろう」と語る。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ar5SxKnyx2fQ